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学期がまた一つ終わった。
去っていくホグワーツ急行を見送り、初夏の晴れ渡った空を見上げていれば、一羽のふくろうがふらふらと城の方へ飛んでいくのが見えた。
今年の夏は、一度ドイツへ戻るべきだろう。
特に学校内に重要なものが隠してあると言うわけでもないし、帰宅の許可をとるのはきっと造作もないことだ。
すっかり静かになった城内はいつもより広々と感じられる。
「ローレンス」
「スネイプ、おはよう」
ひらりと手を振れば、彼は片方の眉を持ち上げた後に私にトランクケースを押し付けた。
「もう返しても良い頃だろう」
「あぁ……ありがとう、君が預かっててくれて助かったよ。読んだ？」
左右に頭を振ったスネイプを意外に思いながら、ずっしりと重いトランクを片手に提げ、城内を歩く。
妙に音が響く廊下に、二人分の足音と一人の話し声。微かに相槌を打つ低い声が雑っぽく反響しては消えていく。
やがて到着したのはいつも通り私の部屋で、ふわりと浮いたティーセットと市販品のビスケットがテーブルへと飛んだ。
彼は何を言うでもなくもはや定位置となったソファーに深く腰を下ろし、長い指を組み合わせテーブルがセットされる少しの間を過ごした。
湯が沸くのを待っている間に、部屋の窓がこつりと固いものに叩かれた。
先程見かけた梟が手紙を運んできてくれたらしい。
それを受け取り、広い羽を思いっきり広げ飛び去っていくのを見送った後、宛名を確認した。
ふと視線を感じたので、此方を見つめるスネイプを振り返ってから、指にはさんだ封筒をヒラヒラと揺らして見せた。
「君も知ってると思うけど、アバーテからだよ。ミリセント・アバーテ。ほら、二年の時ちょっとだけ仲が良かった…」
「魔法方執行部部長……なるほど、道理で君に極秘書類が届けられるわけだ」
「ブランクを埋めようとしただけだよ」
封を切り、沸騰した湯をカップとポットに注ぎ、便箋を取り出す。
若草色の羊皮紙にさらりさらりと記される文字に視線を走らせる内に、眉間に力がこもるのを感じた。
片手でカップの湯を捨て、紅色の液体を丁寧に注ぎ入れていく間にも、不快感が体内を満たしていくのを感じた。
液体の満ちたカップを２セット、宙に浮かせたままテーブルまで運べば、スネイプが怪訝そうな目で私を見上げた。
「どうした？」
「父親が死んだ」
「……何？」
微かに見開いた彼の両目に、私はさして感動することなく、ただ静かに目を閉じた。
(死の知らせ)
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きのこ(プロフ) - やっぱり最高です！！！ありがとうございます( ´∀｀) (2020年5月19日 9時) (
レス) id: 2f2822d021 (このIDを非表示/違反報告)
たまち - 結構ガチで続き待ってます このシリーズマジで好きです (2020年5月7日 23時) (レス) id: 2384b40b81 (このIDを非表示/違反報告)
氷狐 - いやぁ、不安になる終わり方ですねぇ。続きがとても楽しみです！体の調子に気をつけて頑張ってください！ (2020年4月14日 7時) (レス) id: 43c698ce3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：微糖 x他1人 | 作成日時：2020年4月12日 17時
