100:再び ページ2
部屋についてから、障子を閉めて、ずるりとその場に座り込む。
「っ、……ったぃ…」
久々に酷い頭痛に、思わず頭を抱え込んで、呻き声を上げる。
着物の袷をはだけて、玉のように浮かんだ汗を掌で拭いながらも、頭痛はどんどん酷くなる。
力を込めすぎたのか、文机をひっくり返してしまったまま畳に踞る形になってしばらく、野太い声が鼓膜を揺さぶった
「Aちゃ〜ん、副長何処にいるか知らな…Aちゃん!?」
「、ぅ、はらだ、さん」
いつの間にか側に来ていたらしい原田さんが慌てた様子で私の周りをバタバタと忙しなく動き回る
「ど、ど、ど、どうした!?頭か!!頭が痛いのか!!!?」
ガンガンと頭痛を後押しするような音量の声に、全身から汗が吹き出すのを感じる。
「大丈夫、です、から、少し静かにっ…、」
「お、おぅ、す、すまねぇ!でも、そんな痛ェなら病院にかかった方が…」
言いながら手拭いを差し出してくれたのを有り難く受け取り、上手くはないが笑みを浮かべて見せる
「ありがとうございます、ほんと、大丈夫ですから……、すぐ、おさまるんで」
「なら…良いんだけどよ……」
それからしばらく、例の頭痛が収まるまで原田さんは辿々しくも背中を擦っていてくれた。
・
91人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みぃ(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからの展開がすごっく楽しみです!これからも頑張ってください。 (2019年8月13日 23時) (レス) id: d77d134be6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:東雲出雲 | 作成日時:2019年8月12日 14時