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ゲーナは荷物の準備をしていた。準備と言っても、あまり手のかかるものではなかった。なぜなら彼の荷物は宝を詰め込むためのずた袋と数日分の食料、そして護身用の剣だけだったのだから。
聖騎士達の話を盗み聞きしたのだ。彼らは今日、悪魔を討伐しに行くのだという。その悪魔はこの聖堂から最も近くに存在する悪魔で、また最も力の弱い悪魔であるらしい。
ゲーナはそれについていくのだ。協力するためなのでは、もちろんない。悪魔に打ち勝てず殺された聖騎士達の武器を盗むつもりなのだ。聖騎士達の武器や鎧には魔法使い達による特殊な加工がされている。きっと高く売れるだろうというもくろみだった。
ばれないように後ろからついていき、死んだら武器を回収する。悪魔に殺されないよう隠れる必要はあるが、普段だって命を賭けてきている。隠れる事には自信があった。
どうやら聖騎士達は魔法使いも連れていくようだ。夜営の際に結界を作らせるつもりなのだろう。魔法ってやつは本当に便利だな、とゲーナは思った。
そうこうしているうちに荷物の準備は終わった。ゲーナは荷物の最終確認をし、よし、と呟いた。問題はないようである。
今回の盗みでどれだけの利益を得られるだろうか。一生遊んで暮らせるほどではなくても、もしかすると数年は遊んで暮らせるかもしれない。想像してくつくつと喉を鳴らして笑った。
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