感情を潰した数学教師 (ページ2)

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96話夕暮れ時の風景～琥珀side～ページ2

春は気候による影響か、新たな場所に移る為か

世間全体が浮わついた雰囲気になる

それは生徒は勿論の事、教師側もまた然り

春は眠気を誘うらしい、居眠りをする生徒が多いのが毎年の悩みの種となる

まぁ、当然注意をするのだが、数が多く面倒な作業が増えて仕方がない

琥珀(毎年の事だが……面倒だな)ﾊｧｰ

つい、ため息が洩れる

部活の時間が始まった廊下は人通りが少なく静かだ

夕方に近い時間帯は薄暗いが、明かりをつける程では無い

少し歩くと、前方に生徒の姿が見える

その奥には新任の教師、三浦先生の姿も

琥珀「おい、何を……」

出かけた言葉を封じ込める

三浦先生はグランドの方を向いていた

それは別に良い、ただそこを見つめる表情が奇妙だった

虚ろな目で、負の感情を持った表情

三浦先生より手前の生徒は握りこぶしを作り、何かに耐えている様だ

琥珀「三浦先生、どうかされましたか？」

夕士「うおっ!!?」ﾋﾞｸｯ!!

三浦「あぁ……篠神先生か……別に、何も……」

琥珀「そうですか、具合が悪いかと思いまして……勘違いなら良いです。失礼しました」ﾍﾟｺﾘ

三浦「……」ﾌｲｯ

琥珀「稲葉も、クラブが無いなら早く帰りなさい」

夕士「は、はい……」

琥珀(新学期早々、厄介な事にならなければ良いが……)ﾊｧｰ

再び静寂が訪れた廊下に、自身の重いため息が落ちた