〜スマホ依存症達の末路〜【オリジナル】

手放したくないけれど ページ9

「へへ、やっぱりえまるまは優しいなぁ」


私は木崎 藍華 ｷｻﾞｷ ｱｲｶ


とあるチャットゲームで、えまるまという、私と同じ側の人とマルチプレイをしている


たまに学校に行ってる友達が家に来て、「学校来ないの？」ってよく言うけどね。


本当は行きたい。友達と遊びたい、友達とお話したい。でも、もう無理。


あんないじめに、耐えられる訳がない。


友達に相談はできなかった。だって、助けて、なんて言っても迷惑だと思ったから。被害妄想激しいって思われそうで、嫌だった。


でも、ゆういつお母さんはそれを理解してくれた。だから私は今、不登校の状態。


そして家の中でスマホをいじっていたら、すっかり依存しちゃって。


ご飯を食べる時も、寝る時も、いつもスマホを持ち歩いてる。


自覚はしている。でも止められない。


いつのまにか手に取って、画面を見てる。気付いた時にはもう遅かった。


止めなきゃって思っても、止められないんだ。


そんな事を考えていると、外から何か放送が聞こえた


…なんだろう。


よく聞き取れないけど…


どうやら、スマホ禁止令というものらしい。


止めない人には罰金、か……。


えまるま＿＿はわぁ、やっぱ強いねー、みるあは。羨ましいよ…


「………」


スマホ依存症から抜け出す事が出来るいい機会じゃないか。罰金なんて、お母さんに迷惑がかかる


なんて、そんなもの所詮ただの建前。


本音はとても醜いんだ。


お母さんに迷惑がかかってもいい。自分さえ、ゲームが出来れば。スマホを手放したら、えまるまとチャットも出来なくなる。そんなの嫌だ


わがままで、自己中で、どれだけ醜いんだろうって。


「…はは」


自分で自分自身に、自嘲するような、呆れたような、声の掠れた笑いをした


……でも、届けなきゃ。本部に。


私の気持ちを理解してくれた母親に迷惑かけちゃダメだ。


手を握りしめ、スマホを持って、真っ直ぐと。


玄関へ向かった。


「愛華！？どこか行くの？」


そんなお母さんの声がしたけど、それすらも無視して外に出た。

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