2019年5月12日 ページ7
出産予定日から1週間が過ぎた2日前になってようやくお印が来た。 もうそろそろ生まれるのだと思いながら、前もって用意しておいた荷物を玄関先に持っていった。
「13日になってもまだ陣痛が始まらなかったら入院するように」と言われ、早く始まってほしいと焦る日々。 心なしか、胎動も減ってきているような気がする。
「なーんか、朝から動きが鈍いんですよねぇ」
日が西に沈みかけた頃に、産み月を過ぎた妊婦は呑気に味噌汁の味見をしている。 今朝から胎動が鈍くなり、腰が重くなった。 普段生理痛を感じる体質ではないので例え方を知らない。
「まりちゃん、お腹張ってない?」
「痛いくらいに張っていますけど…」
「間隔はある?」
「うーん、ちょっと分からないですね〜」
へへへ、と頬を歪ませて笑う妊婦に、今にも掴みかかりそうな老婆。 4人の男児を無事に産み育てた経験値は伊達ではない。 ましてや予定日超過の妊婦など、いつ産気付いてもおかしくはない。
「あなたどうしてそんなに呑気なの!?」
「えっ?」
一日中、典子による出産の兆候の講義を受けた真理恵。 終わった頃には10分間隔の陣痛が始まっていた。
THE END
『赤ちゃんは味噌汁がお好き』
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