タイムトラベルは突然に 2巻【短編物語】 (ページ16)

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2016年5月19日【111】ページ16

名雲の借りている学生用マンションから羽田空港に行くには、まず中央線の各駅停車で一駅向こうの新宿駅に出て、快速に乗り換えて神田駅でまた乗り換え、京浜東北線で浜松町駅に出て東京モノレールに乗らなければならない。

この複雑な乗り換えは、路線図を読めない真理恵にとっては苦痛以外の何物でもない。要するに空間認識能力が欠けているのだ。数学の図形の問題も大の苦手。二流大学の理工学部中退という経歴を持っているにも関わらず、物理も苦手だった。

だが、一度乗った舟はもう降りることができない。不満は腐るほどあるが、急遽調達した小さいスーツケースを引きずりながら玄関の戸を閉めた。

「あれっ、お出かけですか？」

時刻は午前6時。周囲に自分と同居人以外の人影は無い。

「あ、はい」

隣の部屋の扉が開き、出てきたのは眼鏡を掛けた女性。髪が長いので井筒沙彩子や福井百合子に雰囲気が似ているが、二人よりずっと童顔だ。

「あ、名雲さん。おはようございまーす」

童顔の女性の後ろから出てきた黒ずくめの女性は間違いなく百合子。寝起きのためだろうか、目は据わってぼんやりとしている。

「ユッコちゃん、知り合い？」

「お隣の奥さんー」

「あっ、そうなんですね。私は高尾美鈴(たかおみすず)と言います」

何やら間違った情報が伝わっているようだが、突っ込むのが面倒臭いのでもう突っ込まないことにした。

「浦野麻理奈です…」

眼鏡を掛けていないのが麻理奈で、眼鏡を掛けていて右の横の髪を三つ編みにしていて童顔なのが美鈴、ポニーテールが沙彩子、髪を下ろしていて言動を除けば年より大人びている様子なのが百合子。近くで見ると3人の顔は少しずつ違う。

「あ、私は古川といいます。こちらは同居人の名雲さん」

そこに、丁度よく部屋から出てきた同居人も一緒に簡潔に紹介した。

THE END(仮)

『女子大生4人寄るとかしましい前編』

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本当はもっと掘り下げたいのですが、長ったらしくなるので割愛します。ちなみに女子大生4人組の目的地は真理恵たちと同じ長崎です。中学校の修学旅行の再現だそうです。

かつて、作者の行った修学旅行先も長崎・福岡でした。