020 ページ20
みんなが盛り上がるなか、私は北斗くんの横の席から立ち、樹くんの横に座った。
「樹くんちょっといい？」
「おぅ…。」
私は、さっき樹くんと2人で話したテーブルに座った。
みんなから少し離れたこの場所はすごく静かに感じた。
「樹くん。肝試し……一緒に行って欲しいの。」
「もちろんだよ。誘ってくれてありがと。」
私はその言葉を聞いて首を横に振ることしかできなかった。
頭の中には目の前にいる樹くんよりも、
北斗くんの顔が浮かんだけど、
それをかき消すようにラナの顔が浮かんで、
私は樹くんに笑顔を向けた。
そして、スタッさんが集合をかけると、
すぐに肝試しが始まった。
私たちは、北斗くんとラナのペアの後に出発することになっていた。
樹くんは、優しく大きな手を差し出してくれた。
でも、前に出発した北斗くんも、
ラナの手を握てスタートをしたのを見て
複雑な気持ちになったけれど、
私は、私のことを真っ直ぐに思ってくれる
樹くんの手をしっかり握った。
自分が思う人と付き合うことと、
自分のことを思ってくれる人と付き合うことは、
どちらが幸せなんだろう。
「じゃあ、行こうか。」
樹くんは真っ白な歯を見せて笑ってくれたから、
私も笑顔で大きく頷いた。
すると樹くんは握った手に少し力を入れて返してくれた。
だから、暗くて不気味な夜道も、
少し怖さが和らいだ気がした。
そして、目的地に着くと、北斗くんとラナが
2人並んで楽しそうに話す姿が目に入り、
私は樹くんの手を取って、
2人の姿が見えない所へ向かった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 261人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Rika - 初めまして。お話が凄く良かったです。続き楽しみにしてます。 (2020年7月29日 14時) (
レス) id: feb3738261 (このIDを非表示/違反報告)
なほちゃん(プロフ) - 凄いおもしろいです。続き待ってますよ(*^▽^)/★*☆♪ (2018年10月28日 12時) (レス) id: 01f3b783a5 (このIDを非表示/違反報告)
まる - この小説すごく面白いと思います！頑張ってください！！ (2018年6月7日 22時) (レス) id: 28d8240592 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ピ | 作成日時：2018年6月3日 13時
