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「…やっぱりセンラ志麻くん泣かせてしもうたやん。
胡蝶さんと話してさ、知らんかったとはいえ志麻くんの事傷付けてしもうたけん、何かなぁ、志麻くんのことほんまに助けれるんかなーって。
もしかしたら信用してくれてないかもしれんし、あんなにくさいセリフ言ったのにさあ。
それにうらたんやって、どうなっとるかようわからんし、俺達のこと見ても志麻くんみたいじゃなくて、なんも思ってくれんかもしれんのやろ」
センラの言う通りだ。
第一、大切な友人が記憶を無くしてしまい、それを宛もなく途方に暮れながら、しかもあまり思い出の話をしないようにして記憶を思い出させる事なんて、人生を普通に生きていたらまず起こることは無い。
それに普通、そんな状態を打破する天才的な発想、もしくは知識なんて持っているわけが無い。
そんな俺達なのに、二人の事を救えるか。
俺達は、本当に分厚くて高すぎる一つの壁の前に立たされているような気がした。
…でも
「…やるしかないんよ」
やるしかない。
この壁を、俺達の手で飛び越えるか壊すかどちらかをしないといつかはやってこない。
本気でぶつかって壊れなくっても、飛び越えれなくっても、諦めないで壁に向かっていくしかない。
センラが俺の顔を見る。ぼんやりとした感じで、しばらく俺の事を見つめていた。
やがて、センラはヘラっと笑って
「…そうよな。頑張らなあかんな。ありがと坂田」
と歩みを進め始めた。
…俺は足を動かさない。そのことに気づいてセンラは俺の方を向いてきた。
「どしたん」
センラは俺に声をかける。いつもよりも低い声で。
俺は、その声をかき消すようにセンラにこう言い放った。
「頼れよ。俺の事も」
「…え」
センラは、ドキッと、まるで図星をつかれたかのように驚いた顔をした。
「こっちに来てからセンラはちょっとおかしい所あるし、前よりも心配性になってて、俺や他の人が怪我したら異様に心配するし。
確かにこんなに傷つくことは俺らの時代ではなかった。
だから心配なんだと思う。
でもさ。
逆に自分の事もちゃんと考えてくれよ。
こうやって壁にぶち当たってんものもセンラだけじゃないんや。俺もちゃんとおる。
…今はさ、
いざって言う時に頼れるうらさんも、
俺達を励ましてくれるまーしいもおらん。
…こんな頼りない俺しか隣におらんけど、
逆に俺もセンラにしか頼れんけど、
一人で抱え込むのはやめて欲しい。
…頼れよ。俺の事も」
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um(プロフ) - そうですかありがとうございます! (2020年7月27日 22時) (レス) id: 00ce3b9bd5 (このIDを非表示/違反報告)
筆ペン屋さん 極細(プロフ) - umさん» 下のコメントの続きです。あと、私も文章能力があまり良くないので、描写などが上手く書けていない所も全然あります。そこでストーリーを勘違いさせてしまっていたらすみません!上手く言えていなくてすみません。わざわざコメントありがとうございました! (2020年7月27日 22時) (レス) id: d5543b7af3 (このIDを非表示/違反報告)
筆ペン屋さん 極細(プロフ) - 違うアカウントから失礼します!(このアカウントはもう使えなくなってしまったので…中の人は同じです)ここの場合、柱合会議は歌い手様がストーリーに少し影響を与えている為、一部のキャラが協力的だったりしています。続きます。 (2020年7月27日 22時) (レス) id: d5543b7af3 (このIDを非表示/違反報告)
um(プロフ) - コメント失礼します!柱合会議の感じが違うと思うのですが………… (2020年7月27日 21時) (レス) id: 00ce3b9bd5 (このIDを非表示/違反報告)
筆ペン屋さん(プロフ) - 火白.さん» 遅くなってすみません、ちゃんとレス出来ていませんでした。このコメントの下のコメントが返信です。 (2020年4月13日 12時) (レス) id: 51416204c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:筆ペン屋さん | 作成日時:2020年3月28日 1時