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でも、一段落着いたあとなのか、俺の耳に届くのは坂田がグズる声だけ。その声と、声を際立たさせる独特の夜の静けさが俺の不安を煽る。


角を曲がって出ていこうにも、善逸は多分俺の事を気づいているはずなのだが、坂田が俺に聞かれたくない事情を話しているのだからそこを配慮しなくてはいけない。
話を聞き耳を立てて聞こうにも、そもそも当の本人はぐずっていて何を言っているのかさっぱり分からないし、善逸は何も言わずに黙ったまま。坂田のことを宥める声すら聞こえない。全く意味が無い。

結局何を話しているかは全然分からない。
とりあえず坂田の身に何かがあったのか、もしくは今まで蓄積されていた想いが爆発したのか…
考えたって分かるはずがないのだ。

駄目だ。ここに来てまでさっきと同じ様に考えるのなら、ここに来るまでのことが全部無駄足じゃないか。


俺は流石に頭を抱えてしまう。これはどうすれば良いのやら。
もういっそのこと坂田達の目の前に出てみようか。

なんだか一人で勝手にテンパってしまっている。前の時代じゃこんなことは滅多に無かった。
あったとしても、それはメンバー皆の力で解決する問題と考えていたから、こんな時にまとめ役になってくれるうらたんがいなかったら俺だけじゃ何も出来ない。

どうすればいい。どうすれば坂田を傷つけずに済む?


そんなことを結局行動に移さずに考えていると、ふと、坂田が無理やり言葉を発し始めた。






「…………つかれた…」






その言葉は途切れ途切れになりながらも、俺の耳にしっかり届いて頭の中でこだました。





「結構遅かったな。坂田が喋ってる時についでにセンラにも聞いて欲しかったんだけど。」

「……すまん」


あれから坂田が部屋に戻り、その場を立ち去ったすぐ後のこと。善逸はこちらを覗き込むようにこちらを向いた。

俺がそれに答えて、角から少し顔を出すと、「早く来いよ」と言わんばかりに激しく手招きされた。

俺は善逸の横に座る。縁側に敷き詰められた木製の床はひんやりしていて丁度いい温度だった。


「…さて、センラびっくりしたでしょ。普段坂田あんな顔しねーし。どうしたことやら。」

俺が座って少し経った頃。善逸が喉から振り絞る様に俺に問いかける。


「……とりあえず、坂田はなんて言いよったん?」


「それも含めて、最初から聞いてもらいたかったんだけどな…」

俺がその質問を無視して逆に質問を投げかけると、善逸は少し苦笑した。


全集中 終わり

お久しぶりです。→←*



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きのこの里(プロフ) - コメント失礼します。もう更新する予定は無いのでしょうか…?出来れば無理しない程度に更新してくださると嬉しいです…! (2022年8月31日 1時) (レス) @page21 id: b722612dff (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - 更新めちゃくちゃ楽しみにしてます! (2020年12月28日 14時) (レス) id: 38881abff7 (このIDを非表示/違反報告)
空き地 - 初コメ失礼します!読んでいてとてもおもしろいです!無理はせず頑張ってください! (2020年7月12日 21時) (レス) id: e153c44a3c (このIDを非表示/違反報告)
筆ペン屋さん(プロフ) - haru☆さん» またコメントありがとうございます!ただいまです!これから少しずつですが更新していくので、ぜひぜひ見ていってください! (2020年6月10日 16時) (レス) id: 51416204c7 (このIDを非表示/違反報告)
haru☆(プロフ) - 待ってました〜!おかえりなさい! (2020年6月10日 13時) (レス) id: e37ae2e853 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:筆ペン屋さん | 作成日時:2020年5月8日 13時

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