* ページ11
すみません昨日中には無理でした。ごめんなさい。
――――
「…えっ、本当にお前大丈夫?考えすぎだろちょっと。そりゃあ疲れるわ…」
いつもとは違うトーンの善逸の声。
本当に善逸は俺の事心配してくれてるんだなと背中をさすられながら感じた。
泣かないでって、そう言いながら俺の背中を撫でる手は暖かい。
別にそうやって慰めてもらいたかったわけじゃない。
少し話しながら心にぽっかりと開いた穴が、ズキズキと痛むみたいな。そんな感じて泣いてしまった。
「…俺の話はどうにもならないと思うけどさ、俺も力の差を感じることはあるわ。
特にセンラと一緒にじいちゃんの稽古受けてた時。あの時は、訓練から逃げてえな〜ってずっと逃げてたり泣いてたりしてたけど、じいちゃんの期待に答えられてないって悩んだことはある。センラばっかり…ってな」
「……善逸…真面目な所あるんだな。意外」
「…一言余計って言うんだよそれ」
俺は鼻をスンッと鳴らして善逸の話に茶々を入れてみる。
そしたらせっかく心配してやったのに。と言わんばかりに背中を叩かれた。
見事に音が出て、少しジリジリとあとの痛みが残る背中を触れる。
善逸は俺が「いただだ…」と言っている顔を見て、してやったり。と言っているような笑みを浮かべていた。
俺が文句を挟もうと、口を開こうとするが、そこは善逸。上手くかわされた。
「……よくある事だよ。…で終わらしたいところなんだけどな。やっぱ辛いのは辛いわ。
俺なんか一度やる気無くしちゃったら、もう手が動かなくてさ。
センラは凄い仲良くしてくれたんだけど、やっぱりそれでも、その強さを羨む気持ちは俺の中にあったのかなぁ」
善逸は、さっきとは一変した表情で、思い出を懐かしむように、はたまた悔やむように話してくれた。
違うようで似ている。今の俺の心境に。
それぞれ、辛いとか、苦しいとか。自分でプレッシャーかけちゃったりするとか。
人によって感じ方は違う。善逸は俺のように泣かなかった。
人によって耐えれるストレスや辛さなんかが違う。俺は耐えきれられなくてこうなってるんだろう。
ちらりと、善逸の方を見る。
今この時代に来て、中身は俺の方が年齢上なのに、善逸の方がちゃんと現実に向き合ってる気がする。
ここまでたどり着くまで、凄い苦しい事があったはずだ。
そうしないと、こんな子供が刀なんか握らない。
……俺なんかが、ちゃんとしないといけない大人なんかが甘えていいのかな。
105人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きのこの里(プロフ) - コメント失礼します。もう更新する予定は無いのでしょうか…?出来れば無理しない程度に更新してくださると嬉しいです…! (2022年8月31日 1時) (レス) @page21 id: b722612dff (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - 更新めちゃくちゃ楽しみにしてます! (2020年12月28日 14時) (レス) id: 38881abff7 (このIDを非表示/違反報告)
空き地 - 初コメ失礼します!読んでいてとてもおもしろいです!無理はせず頑張ってください! (2020年7月12日 21時) (レス) id: e153c44a3c (このIDを非表示/違反報告)
筆ペン屋さん(プロフ) - haru☆さん» またコメントありがとうございます!ただいまです!これから少しずつですが更新していくので、ぜひぜひ見ていってください! (2020年6月10日 16時) (レス) id: 51416204c7 (このIDを非表示/違反報告)
haru☆(プロフ) - 待ってました〜!おかえりなさい! (2020年6月10日 13時) (レス) id: e37ae2e853 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:筆ペン屋さん | 作成日時:2020年5月8日 13時