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「……んでさ、それでなんで俺なんかに相談すんの?」

「……いや、嫌なら構わないんだけどね……」

「いや、良いんだけどさ。なんか意外」

「俺だって人間だし、羨ましいって少しは思ったりするよ」


あれから数日のこと。
今は鬼が人を喰らいに行く夜。

実力の差、自分には無い強さ。

そしてそれに少しばかり抱いてしまう虚しさ。


機能回復訓練も終わり、もう刀も握る事が出来るようになった。



このモヤモヤした、ちょっとした嫉妬心も生まれてしまいそうなこの気持ちを持ちながら刀を握ることは許されるのだろうか。


このままでは、どんどんこの気持ちがねじ曲がっていかないのだろうか。



何も混ぜていないようなドス黒い気持ちを持っていて構わないのだろうか。





「……確かに最近坂田から安定した音が聞こえてこなかったけど、そんなに不安に思うこと?
誰でもよくあるし、気にしない方がいいんじゃない?」

「……良くない。なんだか怖いんだよ。
二人の方が頑張ってると思うし、あんなに差が生まれるのは当然だと思う。
…だから不安になるんだよ。良くないと思ってるけど。なんだか二人と根本的に違うというか、どれだけ頑張っても追いつけないと言うか。

なんだろう、何が違うんだろう、このまま二人の事妬んでしまうのかなって。
そんな事は絶対にしたくないけど…」



俺の隣に座ってる善逸に向けて言葉を発する。
ここ数日、訳の分からないモヤモヤとした感情がふわふわと浮かんで来る。

それが何なのか、きちんとした正体が今も分かっていない。


苦しい。


前の時代でも、こんな事は散々あった。

誰かと喧嘩して、グループのメンバーにどうしたらいい?と相談してみたり。
なんだかよく分からなくなって、不安になってしまって、友達に泣きついたり。


でも、今はそうじゃない。
あの時のように、泣きつくことが許される世界じゃない。

この時代でメンバーに会えて、嬉しかった。
もう会えないんじゃないかって、そんな絶望の最中やってきた二人の温もりは、今までで一番暖かかった。


多分、二人も嬉しかったんじゃないのかな。

でも、大変だったのはここからだった。





最初に俺達から奪われたもの。記憶。

そして、急に変わった環境、生活、そして鬼。




それは俺達の記憶が無くなった時、そして取り戻した時から、それぞれ違う心境を与えた。



今まで大丈夫だと思ってた、心の問題。
まさか自分がこんなに弱いなんて思ってなかった。

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きのこの里(プロフ) - コメント失礼します。もう更新する予定は無いのでしょうか…?出来れば無理しない程度に更新してくださると嬉しいです…! (2022年8月31日 1時) (レス) @page21 id: b722612dff (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - 更新めちゃくちゃ楽しみにしてます! (2020年12月28日 14時) (レス) id: 38881abff7 (このIDを非表示/違反報告)
空き地 - 初コメ失礼します!読んでいてとてもおもしろいです!無理はせず頑張ってください! (2020年7月12日 21時) (レス) id: e153c44a3c (このIDを非表示/違反報告)
筆ペン屋さん(プロフ) - haru☆さん» またコメントありがとうございます!ただいまです!これから少しずつですが更新していくので、ぜひぜひ見ていってください! (2020年6月10日 16時) (レス) id: 51416204c7 (このIDを非表示/違反報告)
haru☆(プロフ) - 待ってました〜!おかえりなさい! (2020年6月10日 13時) (レス) id: e37ae2e853 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:筆ペン屋さん | 作成日時:2020年5月8日 13時

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