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"愛してる"


クロロの温もりが唇越しにAに伝わる。

やがて離れたクロロの唇は、Aのつけていた赤いリップの色がほのかに移っていた。


「急に、なに」

「急か…、確かにお前にとっては急だが、俺は多分ずっと心にあったことだ」

「知らないよそんなの」

「知っておけ」

「やだ」


そっぽを向くAを、クロロはその後頭部に手を置き正面を見させた。


「綺麗になったな、A」

「今までそんなこと言わなかった」

「言えなかっただけだ」


Aは自分よりもクロロの方が余裕を持っているとわかると、眉をしかめクロロから離れた。


「ずっと私の気持ち知ってたくせに、そんなこと言うの」

「俺はお前の気持ちを知ってるなんて言った日があったか」

「ないよ。でもクロロは知ってたでしょ」

「…さあな。言われもしないことを覚えてる訳がない」


クロロは離れたAの頭を軽く撫で、目的の絵画の前に立った。


「これ、何で盗むの」


Aもクロロの横に立ち絵画を見た。


「欲しいから盗む、それだけだ」

「そっか」

「お前も俺に盗まれるか?」


ニヤッと口角を上げるクロロに、Aはいつも通りフッと笑った。


「私はまだ誰にも盗まれないよ」

「…やりたいこと、か」

「そうだね。まだできてないから」

「そうか」


いつの間にか絵画はクロロの念によって懐に入った。


「A」


クロロは気絶しているターゲットを見た。


「俺は何をしてもいいと言ったのに、何故こいつを受け入れようとしていた」

「そんなことあったかな」

「答えろ」

「隙をついて念で記憶奪おうかなって思ってさ。顔覚えられてるの嫌だから」


Aの言葉に、クロロは何も返さずAの前に立った。


「なに」

「…いや、今更や遅いとか言われたから、もう言われないようにな」


クロロはAの頬を撫でた。


「他の男に盗られたくない。盗賊としても、男としても」

「私まだ誰のものでもないよ」

「これからもだ」

「…じゃあクロロが盗られないようにどうにかしなきゃね」










「漸く帰てきたね、団長とA」

「ほんとだ、これで全員かなー」


おーい、とシャルナークは手を振った。

クロロは団員達が盗んだ他の絵画を見て満足そうに笑った。


「じゃあ私は帰るね」


そそくさと帰ろうとするAに、クロロは呟いた。


「今度はお前が聞かせてくれ」

「…そのうちね」


クロロの言葉に、Aは振り返らず応えた。

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カノン(プロフ) - もう更新はされないのでしょうか?楽しみにしてます…! (8月28日 23時) (レス) @page30 id: cb9945ccdc (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - みるきさん» コメントありがとうございます!好きすぎになって頂けて嬉しいです!頑張りますので、どうぞご期待ください! (2022年11月20日 0時) (レス) id: 9293aae5a3 (このIDを非表示/違反報告)
みるき(プロフ) - ……好きすぎます!!!更新頑張ってください!! (2022年11月19日 23時) (レス) @page7 id: 98c132f21e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - mさん» コメントありがとうございます。そして応援ありがとうございます!感動したというお言葉を頂いただけで泣きそうになっちゃいました。こちらこそ、作品を読んで頂きありがとうございます。これからも応援よろしくお願い致します! (2022年11月19日 22時) (レス) id: 9293aae5a3 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - すみません。勢いのあまりに少し誤字をしてしまいました。気にしないでいただけると嬉しいです💦🙇‍♂️ (2022年11月19日 20時) (レス) id: 0d9b393e0f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年11月13日 1時

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