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一旦トランクから出て、数分経った頃




「はい、どうぞ」


『……』




Aはニュートが目の前に置いた料理をじっと見つめる

と言っても、彼が泊まるホテルにルームサービスとして頼んだもので、何も掛かっていないサラダだ




「食べないの?」




見つめているだけで手をピクリとも動かさないAに、自身の食事に手を付けていた彼は問う


その言葉にA少しばかり顔を上げて、長い前髪の隙間から彼を一瞬覗く




『こんな贅沢な食事は、勿体ないです……その辺に落ちた草でも残飯でも良いのに…わざわざ新しいものを用意してもらうだなんて、そんな……』


「良いんだよ。君はもう、僕にとって大切な存在なんだから。前の家族とは違うからね」




さぁ、遠慮しないで食べて。


その言葉を聞いてAはゆっくりと近くに置かれたフォークを手にとって、皿に盛りつけられた野菜を刺して口に運ぶ


そして未だに遠慮がちながらも咀嚼を始め、喉の奥にちゃんと届くように飲み込んだ





その一連の動作を見ていたニュートは、込み上げる嬉しさに自然と表情が緩む


それと同時に、これが “食べる” と言う事なのか。とも思った

そう思うくらい彼女の食事は丁寧で、感慨深い




「どう?美味しい?」


『はい、とても…』




少しだけ涙で濡れたような声で、先程より微かに明るくなった声色

そんなAの様子に釣られるようにニュートの涙腺が刺激された


それでも何とか堪えた彼はAに手を伸ばして、優しく頭を撫でた



その動作に拒む事も聞く事もせず、Aはされるがままに撫でられつつ、黙々と食事を続けていた







その1つ1つの反応にニュートは喜びを覚えつつも、それに比例するように疑問に思うことが増えた




しかし「今は良いや。また日を経てから聞こう」とAを配慮してか、この時に聞く事はなかった






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時々雨(プロフ) - コメント失礼します。まだペルセルトちゃんの笑顔が見れてないので、いつか見れるといいなと思いました!とても気になるお話で、続きを楽しみにお待ちしてますね! (2020年11月20日 22時) (レス) id: 5e6f4aeb76 (このIDを非表示/違反報告)
Haruka Abe(プロフ) - すごく面白いです! (2019年10月16日 1時) (レス) id: a5df0a293e (このIDを非表示/違反報告)
ケイ(プロフ) - 面白いです。文に奇想転結があって頑張ってください (2019年9月4日 3時) (レス) id: 24833da0d8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちもち | 作成日時:2019年7月15日 18時

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