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すると甲斐くんの後に続いて、みんなが駆け寄っては先生の手を掴む



手を伸ばして、名前を呼んで…







その光景は




怖いくらいに眩しかった






やはり大勢の力というのは、とても大きいもので




先生の体は、上へ上へと引っ張り上げられる








上げられている先生は



涙を頬に伝わせていて





何処か、喜びの色を浮かべていた









先生が完全に、足場のある方に戻って来たとき




みんなが安堵するような顔をして先生を見る







クラスの全員が全力だったからか、息を切らしていて



涙を流す生徒も居た





『……』





そのときに、何故だか違和感みたいな、変なものが体の底から込み上げて来て



それを吐き出してはいけないと直感的に思ったのか、奥歯を噛み締めて胸に留まらせた






そして、何となく眩しいこの場から少し離れたくて



先生が起きない内に、人をすり抜けて後ろに行く






この眩しくて綺麗な光景を、少し遠い所から眺めていた方が、自分には合っている



あの中に居るということに、何故か変な感覚になった








先生が助かったことは凄く嬉しい筈なのに、わけの分からない後ろ向きな感情がぐるぐると回る









みんなが変わったのは、凄く喜ばしいこと




ちゃんと頭では分かってる。


普通なら、それがどれだけ大きくて、偉大なことなのか…




先生にとって、どれだけそれが望ましいことだったかも、分かる







全体的に良い方向に向かっている





…だから、なのかもしれない



だからこそ、その場から抜け出せない私にはこんな感情が浮かぶのかもしれない






自分の気持ちに整理がつかないままでいると、視界の中の先生が立ち上がった





「茅野、お前に聞く。

お前は本当に、景山の手を離したのか?

楽になると思って、その手を離したのか?」





そんな質問に茅野さんは涙で顔を濡らしながらも、先生を真っ直ぐ見つめていた





「…違いますっ、

私は澪奈に、生きて欲しかった…っ

だからその手を離したくなくてっ、必死に掴んで…!」



「なっ?そうだろ?

お前は離さなかったんだよ。

この小さな手で、最後まで、精一杯、景山を救おうとしたんだよ。


だからもう、自分を責めるな。

いいな?」



「…っはい」





茅野さんの返事を聞いた先生は、優しく宥めるように茅野さんを抱きしめた



茅野さんが救われて、良かった








.








……あぁ、眩しいなぁ






・〜柊side〜→←・



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おひな(プロフ) - 感動しました。ありがとうございました。 (1月9日 23時) (レス) @page44 id: fb3fd917e6 (このIDを非表示/違反報告)
玲生(プロフ) - 私こんな綺麗に泣いたことないかもってぐらいすーって涙ながれた (8月14日 22時) (レス) @page44 id: 7f34fd14ff (このIDを非表示/違反報告)
ケロッピ(プロフ) - ありがとうございました (8月6日 1時) (レス) id: fb652d6333 (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - 柊先生の生存ルートも書いてほしいです (2021年3月19日 16時) (レス) id: b4ba18a803 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎 - え、え?最終更新日が…?また更新されるのですか?期待しても良いのでしょうか?笑 (2021年1月18日 23時) (レス) id: 76abfc2842 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちもち | 作成日時:2019年5月14日 23時

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