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《その目も、口も手も!誰かを傷付けるためにあるわけじゃない!!

誰かと喜びを分かち合うためにっ、誰かと幸せを噛み締めるためにあるんじゃないのか!?

そうだろ!!》





私からすれば、それは遠いなぁ


そうやって育って来なかったからか何なのかは分からないけど、そう思った





《もっと人に優しくなろうぜ!!

もっと自分を大事にしようぜ!!》





そのときだった


瓦礫がガラガラッと脆く崩れるような音がした





「開いた…ッ!?」





そちらを向くと、郡司さんが廊下を塞いでいた最後の瓦礫を退かしていて


それが無くなると

向こう側が確かに見えていた





「掴まれ!早く!!」



「わっ!?」





手を伸ばしている郡司さんの方に、茅野さんの背中を押す


すると茅野さんは、郡司さんの手を掴みながら目を大きく開いてこちらを向いた





『先に行って』



「…でもっ!」



『私は、後から行けるから…早く』





茅野さんの目を真っ直ぐ見つめ返すと、少し間を空けていたけど力強く頷いてくれた


それを見ていた郡司さんはタイミングよく茅野さんのことを引っ張る







人が1人通れるくらいの穴を潜り終えた茅野さんは、真っ先に屋上に走って行ったんだろう



足音が直ぐ遠くなった





「次A!行って!!」



「渡瀬、ほら早く!!」



「気を付けろよ!」





気を付けろよ、と言いながらも甲斐くんが背中を転けそうになるくらい押してくる





私が先に行って良いのか分からない



もっと、先に行きたい人とかの方が良いんじゃないか…





「ほら、掴め!」





気付いたら郡司さんが手を伸ばしていて


自分でも分かるくらい恐る恐る手を伸ばしていると力強く掴まれて、グイッと一気に引っ張られる




…うじうじ考えてる暇なんか無いと言われている気がした





瓦礫の向こう側に立つと、郡司さんが私を見る





「…後悔だけは、すんな」





後悔…か


今更だけどね





「ほら、行け…!」





返事をしない私なんか気にしなかったように、背中を押してきた


茅野さんも背中を押されたとき、こんな感じだったのかな




結構、力が強い



そんなことを思いながらも、足はちゃんと屋上に向かって走っていた






…後悔なんて今更だ



今更なんだけど









それでも私の足は、どんどん上へと進んで行く








どうか、纏わり付いているこの嫌な予感が



気持ち悪い結果で終わりませんように







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おひな(プロフ) - 感動しました。ありがとうございました。 (1月9日 23時) (レス) @page44 id: fb3fd917e6 (このIDを非表示/違反報告)
玲生(プロフ) - 私こんな綺麗に泣いたことないかもってぐらいすーって涙ながれた (8月14日 22時) (レス) @page44 id: 7f34fd14ff (このIDを非表示/違反報告)
ケロッピ(プロフ) - ありがとうございました (8月6日 1時) (レス) id: fb652d6333 (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - 柊先生の生存ルートも書いてほしいです (2021年3月19日 16時) (レス) id: b4ba18a803 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎 - え、え?最終更新日が…?また更新されるのですか?期待しても良いのでしょうか?笑 (2021年1月18日 23時) (レス) id: 76abfc2842 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちもち | 作成日時:2019年5月14日 23時

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