【3年A組】杭は出なきゃ打たれないはず 5【今から皆さんは人質です】

素直 ページ43

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先生が眠った後、医師が来て色々とやってくれた


郡司さんにも連絡を入れてくれたらしく、数十分後には来てくれて、手を合わせた




その後、私の担当医に外出許可を貰った


期間は1週間




外出許可を貰った瞬間から外に出て葬儀場に行き、私の有り余ったお金を全て使って予約をした


偶然日にちが空いていたから、その翌日にして貰った





綺麗なお金での葬儀じゃないのが、本当に申し訳ないけど…








葬儀には、クラスメイトや文香さんが来ていた



茅野さんに “三回忌、来れたら来てね” だなんて未来を見据えた事を言われて





あぁ、みんなは前を歩いてるんだなぁ…


なんて実感して、距離がより離れた気がしたのはここだけの話








先生の体が消えて、残った白が土に還ったあと





残りのお金で異国の地に飛んだ







外出許可が1週間も出たことに感謝





「Are you OK?(1人で平気?)」



『No problem. Thank you.(大丈夫。ありがとう)』



「Good luck!(楽しんで)」





船の上で空気ボンベを背負って、ここまで運転してくれた船長やクルーの人達にサムズアップしてから





海に飛び込む









海底は深く、奥は暗い



ボンベの重さで何もしなくても下に沈んでいく






上を見れば、太陽で反射された水面がキラキラと綺麗な青で輝いていた




今まで感じていたものを具現化したら、こう言う感じなのかも知れない…








ずっと上を眺めながらぼーっとしていたら、大分深い所まで来た





……そろそろ、良いかな









口に咥えていたものを外して、再びぼーっとする




すると徐々に苦しくなるのは当然で


でもボンベの重さがあるから、もう上がれない









…やっと、約束が終わった



思えば、生まれてからここまでの道のりは酷く険しく、長かった


明けない夜をずっと過ごしていた






.






杭は出なきゃ打たれないはずだと、信じていた


でも自分がちゃんとした杭じゃないことに気が付いた


打つ土台が、ぬかだと知った



それでもここまで、耐えた









やっと、解放される



生きづらくて、息がしづらくて、苦しくて、辛い場所から








誰にも見つからない場所に行く。



ここなら、誰も分からないだろう









…あぁ、時間だ



ならば祈らねば








.








今度は




この世に生まれて来ないように____________









最後に見た青は



ただの黒だった




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