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怖かったかと言われて、少しだけ吃驚した




それと同時に、


あ、怖かったのか。と自分の中で何処か納得がいったような気がした





『…声が、少し』



「怖い…?」



『それが、恐怖という感情なのならば、ですけど…』





見た目や喋り方や仕草、もちろん性格も踏まえてその辺りは何ら問題がない


寧ろ一般的な評価だったら、かなり良い方な筈だ




実際、申し訳ないくらい、かなり丁寧に接してくれている






なんだけど…





『…記憶からは、もう消えかけていて、忘れかけているんです。

顔は思い出せないし、脳内でリピートされる声は本当にそんなものだったのかも曖昧で…』



「それは、母親?父親?」



『両方とも、です。

なのに、脳よりも耳が覚えていて…

多分、声が似てるんでしょうね。
だから、なんかちょっと…』



「成る程なぁ…」





口を開くときまでは全然平気なんだ



ただ、一音でも音を発した瞬間に




ドクッて心臓が嫌な音を立てて


そこからは、やけに鼓動が早く大きくなる




そして体が強張って、意識が遠のき始める


でもちゃんと会話は成立していて



その会話に出てくるものは、恐らく咄嗟に出たであろう嘘





その嘘は、気が付いたらという速度で口から出ていて、ずっとそれが続く





…これがもし、怖いという感情だとするならば



何とかしてそれを隠さなければならない





「…怖いからって言って、先生を替えてもらったら?
事情を伝えれば、理解してくれる筈だ」



『…そう、でしょうか』





まず大前提として、そんなことを話せないというのがある


そして話したとしても、先生からすればとても時間が掛かり、煩わしい時間を過ごさなければならなくなる




そんな事、到底出来るわけがない




それに、私なんかに時間を使うのが酷く惜しい





『理不尽極まりないのは、分かってます。

でも、何かだめで…


…わがまま、ですね』





何で、あの人が私の担当医なんだろう



何も悪くないのに、何で私はこんなになるんだろう







…というか、そもそも





何で、私は









カウンセリングを受けているんだろうか






・→←・〜柊side〜



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おひな(プロフ) - 感動しました。ありがとうございました。 (1月9日 23時) (レス) @page44 id: fb3fd917e6 (このIDを非表示/違反報告)
玲生(プロフ) - 私こんな綺麗に泣いたことないかもってぐらいすーって涙ながれた (8月14日 22時) (レス) @page44 id: 7f34fd14ff (このIDを非表示/違反報告)
ケロッピ(プロフ) - ありがとうございました (8月6日 1時) (レス) id: fb652d6333 (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - 柊先生の生存ルートも書いてほしいです (2021年3月19日 16時) (レス) id: b4ba18a803 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎 - え、え?最終更新日が…?また更新されるのですか?期待しても良いのでしょうか?笑 (2021年1月18日 23時) (レス) id: 76abfc2842 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちもち | 作成日時:2019年5月14日 23時

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