【3年A組】杭は出なきゃ打たれないはず 2【今から皆さんは人質です】 (ページ45)

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おそらく喜志さんが出したであろう画像は案の定、ネット上で盛り上がった

人質になっている生徒ということまで特定されていて、その技術に思わず感心した

でもその後に先生が、魁皇高校の教師の中にフェイク動画を依頼した犯人が居るという動画を流したからか

世間の目は再びそちらに向けられた

でもやっぱり蒸し返す人は居て、8割先生だけど、2割は流された画像で盛り上がっている

「起立。

俺の授業を始める。礼。
……着席」

そして教室では、いつものように挨拶をする

その挨拶にみんなは慣れたのか、初日だったら考えられないくらい順応している

私は立つときにフラつきそうになって少し苦労したけど、まぁ大丈夫だろう

「これから、信じる信じないゲームを始めようー！！」

「…とうとうイカれちまったな」

誰かがそう言うと、少しの笑いが起こる

緊張感が抜けたからか冗談が言えるようになったのは良いことだと思うんだけど…

風邪っていうのは不思議なもので、

普通の声はボヤッとしてて聞き取りづらいのに

大きな声はやけに頭に響く

でも、クラスが明るいのは良いことだ

茅野さんが先生の言うゲームに、何ですかそれ？と質問する

すると先生は笑顔のまま

「信じろ！」

と言い、メガネを外して

「信じるなー！」

と言った

その後に先生は軽く説明する。

メガネを掛けているときには先生のことを信じて、メガネを外したときには先生の言うことを信じるな

それだけを説明して、後は好きにしてて良いよ。と言った

取り敢えず今日は自由な日みたいだ

携帯を弄るのも、喋るのも…

「Aちゃん」

『…なぁに？』

「その、大丈夫……？」

茅野さんがわざわざ私の席に来てそう聞いてくる

…心当たりがありすぎて、何に対してなのか分からない

『…何が？』

「あ、いや、その…普段より、い、色気が増してるから……」

『…変わらないと思うけどなぁ、

けど心配？させちゃってごめんね、私は大丈夫』

声が遠かったけど聞き取れたから会話は成り立った

でも、こういう会話するとさ

「A、ちょっと来て」

『…はい』

鋭い人が気付く糸口になってしまう

先生がせっかく教室を出ようとしてたのに、振り返って私を呼んだ

…先生にバレたかも

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