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先生は私を視界に捉えると、なんだか嬉しそうに柔らかく微笑んで腕を伸ばした


そしたらその腕が後頭部に回って、下に押された




その瞬間、先生の顔が視界いっぱいに広がり、その距離はほぼゼロ

更には唇に柔らかい温もりが伝わる





「えっ!?」





そんな茅野さんの声なんて耳に入れてないみたいに、ゆっくりと顔を離した


そしてまた私を見ては、ゆるっと柔らかく微笑んだ





「おはよ…」


『…おはよう、ございます……』





少し掠れて声で、まるで寝起きみたいに挨拶をされるけど


いや、呑気すぎません?

あと反応に困る


何で今キスしたんすか

なんてことはこんな状況で言えるわけもなく、飲み込んだ





『あの、体の方は…』



「大分マシになったよ。心配掛けたな。

これ茅野のだろ?ありがとう」



「い、いえ…
ほぼ全部Aちゃんがやってくれたので…」



「あぁ、じゃあこの上着はお前のか。

嗅いだことある匂いだと思ったら通りで…」



「…はっ!?」





そう言いながら上着を返してくれるのは凄く有り難いんだけど、なんか違う


普通に返してくれればそれで良かったのに



茅野さんがここまでオーバーリアクションするのは多分珍しい



これでもかと言わんばかりに驚いてる茅野さんをスルーして先生は上半身を起こそうとした

思わず背中に手を当ててゆっくりと起こしてあげると小さく、ありがとう。と言われた





「さて、早速だけど美術室に行こうか。

悪いけど、少し手を貸してくれ」



「あ、はい」





茅野さんと2人で先生の手を引っ張って立ち上がらせ、肩を貸す


衝撃を与えないように、慎重に

それでいてなるべく早く美術室に向かう





「そういえば、俺倒れたのに体が痛くないんだけど」



「あぁ、それならAちゃんが咄嗟に…」



「…お前って時々、凄い身体能力を発揮するよな」



『あはは…』





確かに、教室の後ろから先生の所までは割と距離があった


それに先生は多分、私が中尾くんを刺すのを止めたときのことも含めて言ってるんだろうけど…




美術室に向かうまでに話すことじゃない



そう思いながら歩いていると、騒ぎ声が次第に近付いてくる






すると茅野さんが先生から離れて、ドアを開けた



中では甲斐くんが爆弾のリモコンをあとちょっとで押しそうになっていて


奥では瀬尾くん達が抑えられていた







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作者名:もちもち | 作成日時:2019年3月28日 0時

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