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扉が開いた音で美術室に居たみんなは一斉にこちらを向く
そして誰かが先生の名を呼んだ
「お前がボタンを押す必要がない、
汚れ役は俺だけで十分だ」
そう言って先生は一人で立ってみんなの前に行く
まだ安定はしてないけど、さっきより幾分かマシになっていた
「えっ…ぶっきー大丈夫なの？」
「なんとかね。
甲斐、それを返せ」
先生は甲斐くんに手を差し出して返すように言う
すると甲斐くんは少し躊躇うようにリモコンを見るが、先生に届くように投げる
「おいっ！…危っぶな…
もっと慎重に扱え！」
そりゃそうだ。
もし下手に何処かに当たって反応したら爆発する恐れだってある
それを受け取った先生は自分の手首に装着して、さてと…と話を始める
「俺の話は、何処まで伝わってる？」
「大体把握してると思うけど…」
「そうか、なら…
ここから、出たい者」
先生は自ら挙手をして、手を挙げるように促す
するとパラパラと少ないながらも手は挙がっていた
「そうか、分かった。
じゃあ話し合いをする前に、諏訪が何の情報を持っているのか、それを確かめてから…」
「だから知らないって言ってんでしょ！！」
諏訪さんは自分が持っていたカバンを思いっきり近くにあった机に振り落とした
あー、あのとき諏訪さん思い詰めた顔してたもんなぁ
それを先生は事前に知っていて、それが生徒達にも伝わって…
諏訪さんが袋小路に追われてたみたいな状況になったのか
でも怒鳴る諏訪さんは甲斐くんみたいに怖がっているように見える
「…そんなに喜志が怖いか？
それとも喜志のお陰で手に入れた、名声を失うのが怖いか？」
先生の鋭い目を向けられた諏訪さんは全体を見渡した
困ったように、迷ったように、怯えたように眉を寄せる
「…そうだよ、
喜志を裏切って今の地位を失いたくない。
それの何が悪いの…？」
「…唯月」
「あいつと居れば何でも手に入る。
お金にも困らないし、コネでメジャーな事務所にも入れる…！
ライバルだって何も言わなくても蹴落としてくれるし…お陰で雑誌の表紙まで飾れたッ！
こんな美味しい立場、手放すわけないでしょ…？」
「ベルムズがどういう連中が分かって…」
「関係無いしッ！
実際私はフェイク動画のことなんて知らなかった、私は悪くない…ッ」
それに水越さんと小宮山さんは黙って諏訪さんを見つめる
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作者名：もちもち | 作成日時：2019年3月28日 0時
