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「何その目…笑いたきゃ笑えば!?
偽りの力にしがみついてみっともないって!!

…間違ってることくらい分かってる、

でも私はこうやって生きてきたからッ!

こうやって生きるしかなかったから…ッ!!」





間違ってるって分かっていて

今それをどうしようか葛藤してるなら、それで十分だと思う


それに

ここまで真っ直ぐに叫ぶ人を


誰が笑うんだろうか





「…笑えるわけないよ。

“後戻り出来ないから進むしかない”…


あんな辛そうな顔で言われたら、笑えるわけないよ」





彼女もまた、甲斐くんと一緒だったんだ


夢に向かって輝く景山を見て、眩しくて悔しかったんだと思う


嫉妬…してたんだ。きっと





「…諏訪」



「何だよッ!」



「お前は間違ってない。


…みんな、お前と一緒だよ。

迷って、踠いて、途方に暮れて…
それでも、正解を求めて、前を向く。

進んで、進んで…ダメなら、傷付きながら引き返す。

で、また歯を食いしばって、前を向く」





そうか

みんなはそうやって生きているのか…





「みんな、みっともないんだよ!
でも、それでいい。それが、いい!

恥を繰り返して、強くなるんだよ。

…ていうか、恥もかかずに強くなれると思うなッ!!」





そこで先生は諏訪さんの方を向いてじっと目を合わせる





「だから、諏訪!お前のこれまでは、誰が何と言おうと絶対に間違ってないッ!!」





不思議なことに、先生の言葉っていうのは


とても鋭くて、強くて、重くて…

なのに包まれるようにとても温かくて、安心出来るものばかりだった


先生の授業だからだろうか



その言葉を受け取った諏訪さんの目からは、大粒の涙が流れ出す





「可笑しいな…っ、何泣いてんだろ、私っ…
何で涙が止まらないんだろっ…」





きっとそれは、諏訪さんの中にあった氷の塊が先生の熱によって溶かされたからだと思う。



泣きながら諏訪さんはブレザーのポケットからペンダントのようなものを取り出して、

それを床に投げつけた



割れたペンダントの中からは、小さなメモリーが顔を出す





「…喜志からは何も聞かされてないけど、気になって開けてみたらこれが入ってて

多分、重要な何かだと思う…」





先程とは違う真っ直ぐな目を見て先生はそれをゆっくり拾い

諏訪さんにそれを見せる





「お前の思い、受け取ったからな」





それを聞くと諏訪さんは我慢してたものが溢れ出るようにまた泣き出した






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作者名:もちもち | 作成日時:2019年3月28日 0時

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