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床に押し付けて甲斐くんが先生の上を跨ぐ
黙らせようと必死で何度も拳で顔を殴り込み、先生はそれを今度は受け入れる
それで切れたのか先生の口内は赤くなっていた
「分かるよ、お前は彼女に嫉妬してたんだ。
夢に向かって生きる彼女が羨ましかった…！」
「知ったような口、利いてんじゃねぇよッ！！」
「…素直になれよ。
夢を諦めた自分とは対照的な彼女が妬ましかった、違うか？」
「ッ、だったらなんだよッ…！！
あいつは何のしがらみもなく好きなことばっかやってっ！
なのに俺は！何もかも我慢して！！
何で俺だけこんな目に遭わなきゃなんねぇんだよッ！！」
悲痛な叫びに聞こえた
でもそれって…
なんか、ずるいなぁ
何度も振り下ろされた拳を止めて、先生は甲斐くんを蹴り上げた
「…いつまでそうやって被害者ぶってるつもりだ。
お前がダンスを辞めなきゃいけなくなったのは家族のせいじゃない、
お前が何もしなかったからだ」
「んだと…ふざけんなっ！」
「お前が！抱いた悩みや、苦しみを！誰かにぶつけたか！？
仲間に、クラスメートに、教師に！
“どうしてもダンスがやりたい！誰か助けてくれ！！”ってお前は縋ったかッ！？」
「そんなことするわけねぇだろ！！」
突っ込んでくる甲斐くんに一回蹴りを入れて
側頭部に思い蹴りを一発入れた
甲斐くんはその大きな衝撃で飛ばされた
…もう、殴らなくて良いじゃんか
「…誰かに縋って何になる……
助けてくれるわけでもねぇ…
見捨てられるのがオチじゃねぇか！」
「…ふざけんじゃねぇよっ…」
重く怒りで震えた声で呟いたのは、石倉くんだった
「お前のそういうところがムカつくんだよ…
ダンスのときも、俺が先に始めたのにお前にあっという間に追い越されて…
こいつならマジで世界掴めるんじゃねぇかって思ってたら、いきなり辞めるとか言い出して
…それがこんな理由かよ。
なぁ、おい！
カッコつけてんじゃねぇよっ…！」
甲斐くんの胸倉を掴んで、目を合わせて
真剣に真っ直ぐと向き合って
何も言わない彼に怒った
「何で黙ってたんだよッ！！」
「言ったってしょうがねぇだろ…」
「決めつけんな！！
金を工面出来なくても！弟達の面倒くらい俺達だって見れる！！俺達だって！！
何か力になれたはずだろ…っ」
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作者名：もちもち | 作成日時：2019年3月28日 0時
