【3年A組】杭は出なきゃ打たれないはず 2【今から皆さんは人質です】 (ページ22)

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逢沢にトイレに行くと言ったのは咄嗟に出た嘘だった

頭を少し整理したかったから外に出ただけで、特に用は無い

…気になることはあるけど、聞いて良いものなのか分からないから黙っておく

一応口実にしてしまったからトイレには行った

うん、整理は一応出来たと思う

少しは頭の中がスッキリしたから教室に戻ろうとすると

「良いから良いから、こういうの大事だから」

「…おうっ」

『……』

廊下で円陣をやっていた

…いや、何で円陣？

あと人数が増えてる

あれは…魚住さんと河合さんか

仲直りでもしたのかな

そう思いつつもその円陣の横を通って教室に入る

「あっ、Aちゃん」

はずだったんだけど、丁度顔を上げた茅野さんが私を見つけて呼び止める

他の3人も顔を上げる中で茅野さんはこっちに近付いて耳を貸してと言うように手招きをする

言われた通りすると、声を潜めて喋り出した

「今日の授業の時間、今までの犠牲者の生存確認をする」

『…どうやって』

「授業中の何処かで先生の目が逸れるときが来るはず。

そのときに私達は後方のドアの近くに居て、先生の目が逸れたら私が美術室に向かうの」

そこまで言って茅野さんは耳元から顔を離した

ドアノブに電気が流れてることは…言わない方が良いよね

折角やろうとしてるのに、その気持ちが無くなっちゃっては意味がない

『…そっか、成功すると良いね』

少し複雑だけど笑って見せれば茅野さんは固まって目を大きく開く

え、驚く要素あった？

「……えろ」

『え？』

「あ、いや…エモい。そう、エモいんだよ！」

『…なるほど？』

それから茅野さんは小さく呟いて自己完結させていたけど…

エモいってあれだよね、景山が言われたって言ってたやつ

いや、そもそもエモいって何？

どういうこと？衝動的な問題？

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