【3年A組】杭は出なきゃ打たれないはず 2【今から皆さんは人質です】 (ページ16)

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「さくら、アンタはAのことをため口で下の名前で呼ぶこと」

「…えっ、私だけ？」

「Aを見る限り、関わりが長い人だと少し砕けると思う。
だからAは慣れてったらで良いから。

それに協力してくならその方が話し易いでしょ」

…宇佐美さんは、観察眼が良いのかもしれない

その方が助かる

茅野さんが困惑した顔で私を覗くから、小さく頷けば

「じゃあ、Aちゃんで…」と小さく口にした

あ、茅野さんの表情が緩んだ

景山も、こんな顔を見たのかな

「だから離れてって言ってんの！」

そんなときだ、小宮山さんがイラついてるように言った

それは魚住さんに向けて

「そんな言い方しなくてもよくない？」

「…どうしたの？」

「…私のこと、臭いって……」

「は？」

不穏な雰囲気だ

一触即発って感じ

「ホントのことでしょ、いつも汗かいてるし」

「新陳代謝が活発って言ってもらってもいいかな！？」

「だから動かないでよ！！」

「うっせぇな！！

風呂入ってねぇのはみんな一緒だろ、んなことでいちいち騒ぐなよ。

つかお前らだって十分臭ぇよ」

「は？何それ」

怒鳴った須永くんに水越さんも喧嘩腰で言い返す

小宮山さんが朝食を持って立ち上がり、

向こうで食べるからもういい。と不機嫌な声色で言って、魚住さんの机を蹴る

河合さんがそれにキレて小宮山さんの肩を押して言い合いになるが、須永くんがまた強く言ってそれは収まった

「そういえば、内通者のことなんだけど…

あれが本当なら、先生と繋がってる生徒がいるってことだよね？」

「ってことはこん中に、
うーらーぎーりーもーのーがーいーる。ってことか？」

石倉くんは煽るように「裏切り者がいる」ということを強調して言った

…この空気苦手だ

「なんか、ギスギスしてるね…」

「無理もないよ、極限状態がずっと続いてるんだもん」

…そっか、

電子機器を取り上げられたし、お風呂にも入ってないし、寝る場所もまともじゃない

それに昨日、5人が犠牲になったから無理もないのか

「おはよーう！！」

ギスギスした空気の中、また場違いみたいに明るく元気な声で先生が入ってきて

起立するように言った

席に、戻らなきゃ

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