【3年A組】杭は出なきゃ打たれないはず【今から皆さんは人質です】

・ ページ45

・




薬を飲むときは何が何でも水分を使え


お菓子食うみたいに薬飲むなバカ



そんなお説教を軽くされた


先生はというと、缶の中から何かしらの薬を取り出して私に渡してきた水の余りを使って飲んだ

そしてパソコンの画面に映像を写した



そこは居酒屋で、

女の人が映っていた


その女性が語るのは、教師に何が出来るのか…みたいな

多分、撮影者は先生なんだろう


懐かしそうな顔で頬杖をついて映像を見ていた





『この女性ってフミカさんですか…？』



「そうだよ」



『…恋人さん？』



「渡瀬がそんなに聞いてくるなんて珍しいなぁ〜

…文香はね、俺の友達なんだ」





先生が前居た学校の先生なのかな

「私達教師に…」みたいなこと言ってたし



＿ヴーッ



そんなとき、先生のスマホが音を鳴らした


そこで動画を止めてスマホの画面を見ると「相楽文香」の文字



文香さんってそういう字だったんだ


先生は今まで外していた眼鏡をかけて電話に出ようとする




…居ちゃ、マズいよね


そう思ってドアの方に足を向けると、パシッと手首を掴まれた


先生の方を見るといつも通り優しく笑って

静かにしてるように、しーっと口に指を添えていた


小さく頷けば先生は手首から手を離して、今度は手を繋いでくる



…とりあえず静かにしてれば良いんだよね





「…はい、

今日は課題をクリアしたので全員無事です。


…なら、おにぎりを頂けますか、31人分」





え、？





「10分後に、第一校舎の昇降口に来てください。
勿論、丸腰で。

武器の所持、または誰かが同行した際には…

教室ごと爆破します。では」





そう言って先生は電話切った


…脱出通路が存在するってのも驚いたけど





『何でおにぎり…』



「あ？あぁ、真壁と里見が和食派らしいからな。

今朝そう言ってここに来たよ」



『…勇者』



「ははっ、そうだな」





違う、引っ掛かったのはそこじゃない

いや、確かにそこでもあったんだけど、それとはまた別にある


…聞いても大丈夫なのかな





「お前は、何が聞きたい？」





先生が私の顔を覗き込んでそう聞いてきた


察してくれたんだろう





『おにぎりの個数が…
あ、先生が2個食べるって言うなら話は別なんですけど…』



「…鋭いなぁ、お前は」





先生は繋いでいる手とは別の手で優しく頭を撫でてからそのまま何処かに足を運ぶ





『…えっ、』



「お前もおいで」





…いや、何で？







・

・〜柊side〜→←・〜柊side〜

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す