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先生に水を渡して飲むように言えば、少量飲んでくれたために少し落ち着いた。

その落ち着いている間に前髪を退かして濡らしたタオルで血を拭くと傷口が露わになる


さっきの鉄パイプと傷口の位置からすると、殴られたんだろう

多分、甲斐くん達に


教室で後ろの方に集まってたのは、きっとこのことを話してたんだと思う





「…ッ、」



『消毒液って沁みますよね、分かります』





小さく肩を揺らして顔を顰めた先生に共感しながらもガーゼを付けて包帯を巻く。


こういうことも想定してたのかな、救急箱の中が用意周到だった。

応急処置がしやすい程度の道具は大体揃ってて、

大きな傷が出来ても縫えるような物もあった。





『終わりましたよ』



「あぁ、すまない…」





包帯が違和感なのか、軽く上から確認するように触っていた

そして今までの緊張が緩んだように机に凭れて脱力してた。


それを横目に今度は床を片付ける

画材が飛び散っていて、使えない筆とかが見ただけで沢山あった。


それを拾おうと手を伸ばして触れる寸前…





「指切るぞ〜」



『…大丈夫ですよ』





声を掛けられたが気にせずに拾う。

腕に破片刺さったんだから、指切るなんて今更だ


そう思いながらも何本か筆を拾うと何かが覆い被さるように腕を回してくる


先生しか居ないんだけどね





『大丈夫ですか、
しんどい?横になります?』



「……」



『先生…?』





返事をしないから気を失ったのかと思って腕を退かして顔を合わせれば、

先生の手が頬に伸びて優しく触れた


肩が跳ねて、思わず固まってしまったのは仕方ないと思う





「ごめんな…」





そう言って目を細めて、親指で何度も頬を撫でる


水越さんに叩かれた場所だ。

痛みはとっくのとうに引いている





『…恋人が殺されたら、普通ああなりますよね。

彼女の行動も無理ないですよ。

それに私が勝手にしたことだから自業自得ですし、謝る必要はないです』





頬にあった先生の手を退かして立ち上がると、先生も立ち上がる


そしてまた私との距離を近付けたと思えば、

撫でていた方の頬にフニッと感覚がした。



目をその方向に向ければ、先生の顔がかなり近いかった





「ありがとう」





顔を離したかと思えば、
先生は柔らかく微笑んでお礼を言う





「あとは俺がやるから、教室戻れ」





そう言われて素直に出て行くけど




いや、何事?


仮にも人質なんだけど…








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(プロフ) - ごめんなさい、不謹慎だけど主人公冷静にツッコミしすぎて笑ってしまった笑 (2022年4月12日 0時) (レス) @page32 id: 4806b1b4dd (このIDを非表示/違反報告)
りん - 苗字で呼ばれるなら変換できるようにしてほしい!自分渡瀬じゃないんで! (2019年3月31日 4時) (レス) id: b95582035d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちもち | 作成日時:2019年3月17日 23時

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