プロローグ【雨の日の出会い】 ページ2
順平目線
「雨かぁ‥
早く帰らないと」
僕は荷物を抱え
傘を差し急ぎ足で高専へ向かう
正直雨は好きではない
泣き出しそうになるから
滴が涙と似ているから
『ひぐ、う、
あぁ‥‥‥』
泣き声が耳に響いた
少女の泣き声だ
だが、見渡しても
特に目立つのは大きい屋敷だけだった
僕は歩み寄ると正直
(気味の悪い屋敷だな‥)
そう思った
黒が主張とされた色が広がり、
だいぶ、年が立つような古い屋敷
なのに、一つも汚さがなかった
扉を見ても蜘蛛の巣一つも見ない
あんな屋敷に
もしかしたら迷子だろうか？
扉を開けば少しギギッとなる程度だった
「お邪魔しまーす‥」
僕は荷物を近くに置いた
少し怖い
中に入れば
花の入ってはいない花瓶が僕を出迎える
建物は二階
扉がずらりと並び
ひとつひとつ開けて女の子を探していく
どの部屋も大差がない
ベットと机に椅子に‥と
他の違う部屋は
大きな食堂とテーブルと椅子に
綺麗なお風呂場
シンプルな家だ
最後の扉を開ける
そこにいたのは
「‥‥！？」
茶色の髪を床につけ
顔を手で抑え、
足を床につける
高校生くらいの女の子がいた
「‥え、っと
大丈夫‥？」
僕が彼女にそう声を掛ければ
ピクッと肩を揺らし
ゆっくりと抑える手を離し
僕を見る
ードクッ
『‥あ、なた。誰？』
「僕、は
吉野順平
‥‥君の名前は？」
『‥‥A？』
彼女、Aは
自身の名前だと思うものを
答える
「そう。
よろしくね！」
プロローグ【雨の日の出会い】(終)
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作者名：黒い馬車の青い鳩 | 作成日時：2021年3月26日 0時
