弐拾弐頁─異能生命体─ ページ29
彼等の出会いから三日後────
場所はあの時と同じ倉庫内。
あれだけビッシリと張り巡っていた植物の姿は跡形も無く、それ独特の青臭さもしない。
誰が片付けに当てられたのかは判らないが、少なくとも異能が使われたことは確かだった。
そんな場所に再度集まった三人。
...いや、正確には四人だろうか。
「......Aさん、そのぬいぐるみは何ですか」
怪訝な顔でそう尋ねたのは太宰。
彼の目線の先には、薄茶色の躰に桃色のボタン眼の物体。
腕に収まる大きさの二頭身ほどのクマのぬいぐるみが床を歩いていた。
『異能生命体。見るのはこれが初めて?』
「いや、見たことはありますがそれは人の形をしていたので」
「中身は綿が詰まってンのか...?」
しゃがみこんで興味深そうにそれを観察する二人。
その時、唐突に少年のような明るい声が倉庫中に響いた。
「こんにちは、初めましてだネ!ボクの名前はフルール・フラム。Aのお手伝いをするからよろしくネ」
「うおっ!?」
「へぇ、君喋れるんだ。手伝うって何をするんだい?」
突然言葉を発したぬいぐるみに中也がバランスを崩すのに対し、太宰は至って冷静にいつもの調子で問いかけた。
フルールと名乗ったぬいぐるみは片方から期待通りの反応が全く貰えないことに、動かない表情とよく動く手で「ンー」と不満そうな仕草を見せた。
「ヒトを驚かせるのが面白いのにちょっと拍子抜けしちゃったナ......まァ、善いか。ボクはそこの帽子の彼と戦うようにお願いされているんだヨ」
そう云って向けられた丸い腕に中也は困惑する。
その隣では太宰がぽかんとし、それから中也とフルールを見比べて彷徨った目は最終的にAのもとに辿り着く。
『今その子が云ったように、中也には彼と戦ってもらう。何らかの理由で異能が使えない状況下での動きを見てみたい。太宰は私とね。体術の基礎を実戦形式で教えこむ』
返事は?と聞く師の声に、二人ははいと返す以外の選択肢を持たない。
異能生命体とは云えど、どこからどう見ても中に綿が詰まっているぬいぐるみにしか見えないそれに彼等の胸に小さな不安が宿った。
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煉華☆(プロフ) - ラズベリーさん» 返信遅れてしまいすみませんでした!先ほど承認を出させていただきました。双黒良いですよね、私も最推しです(*^^*) 最終更新からかなり日が空いてしまいましたが、今日から再開予定ですのでまた読んでいただけると幸いです。コメントありがとうございました! (2019年9月27日 8時) (レス) id: fa2422e9a4 (このIDを非表示/違反報告)
煉華☆(プロフ) - 燐華さん» 返信遅れてしまい申し訳ありません。わざわざ申請してもらったのにこう言うのはなんなのですが、文章をしっかりと読んだ上での申請をお願いしております。フレンド数の上限の関係でこうなってしまって本当にすみません!拒否はしてませんので良ければお待ちしております (2019年9月27日 7時) (レス) id: fa2422e9a4 (このIDを非表示/違反報告)
ラズベリー(プロフ) - フレンド申請させていただきました。〈ラズベリー〉です!推しは旧双黒の2人です!このお話凄く面白いのでこれからも更新頑張って下さい! (2019年9月18日 16時) (レス) id: 56fb91a534 (このIDを非表示/違反報告)
燐華(プロフ) - フレンド申請させていただきました。ユーザー名は彼岸花です。 (2019年9月18日 9時) (レス) id: 7838562921 (このIDを非表示/違反報告)
煉華☆(プロフ) - サナさん» いただければ幸いです。 (2019年7月5日 15時) (レス) id: fa2422e9a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:煉華 | 作成日時:2016年12月19日 15時