拾漆頁─黒ニ交ワレバ 10─ ページ22
目の前に広がるのはさながら熱帯のジャングルのような光景。
多種多様な蔓が四方の壁を這い巡り絡み合い、子供であれば包み込んでしまうほどの巨大な葉が視界を遮る。
部屋には一つ緑を置いたほうが善いとされているが、流石にここまでの量は一目見るだけで精神がおかしくなってしまいそうだ。
そんな歩くことも困難の中、二人はゆっくりながらも徐々に前へと進んでいた。
「痛ッ、先刻から何なんだよこの棘は!」
「はいはい、勝手に異能使わないでよ。この大量の植物、知っているものもあれば見たこと無いものもある。下手に傷つけるとどうなるか判らないんだから」
腕に当たった鋭い棘を持つ植物に手を伸ばそうとする中也の手首を太宰の指先が触れる。
それだけで万物を押し潰す強力な異能は彼の手から容易く離れていった。
中也の方針としては、見ているだけで鬱陶しくなるこの植物の大軍を自分の異能で全て捻りふせるというものだったが、それを太宰は断固として拒否した。
中也は植物の危険性についてそこまで考えたことが無いのだろうが太宰は過去にそれらを使った自 殺を思いついたことがあり、その際に国内の植物図鑑はある程度読破している。
だからこそ彼はそれらの持つ危険性を熟知しており、自身の知らない未知のものは容易に傷つけないという結論を出したのだった。
「手前の云うことは一理あるかもしれねぇが、日が沈むまでに片をつけねぇと俺らの負けだと云ったのも手前だ。この状況をどうする気だ?てか何で手前の異能がこいつらに効かねぇンだよ」
「それは僕にも判らない。もしかしたら本人に直接触れないと駄目なのかもしれないね。それか既にこの植物達は異能の効果を受けていないのか。本当はこういう賭け事じみたはことはしたくないんだけど......中也、君は
少し間を開けて云われたその言葉に中也は顔を顰める。
それから間もなく不機嫌な声が発せられた。
「はァ?今更何云ってやがんだ。賭けでも何でも善いからさっさと手前の思いついた案を教えろ」
提案の開示を促す中也に、彼はその蓬髪の頭を掻きながら渋るように口を開いた。
そしてそれを耳にした中也は最高だと口元に弧を描いた。
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煉華☆(プロフ) - ラズベリーさん» 返信遅れてしまいすみませんでした!先ほど承認を出させていただきました。双黒良いですよね、私も最推しです(*^^*) 最終更新からかなり日が空いてしまいましたが、今日から再開予定ですのでまた読んでいただけると幸いです。コメントありがとうございました! (2019年9月27日 8時) (レス) id: fa2422e9a4 (このIDを非表示/違反報告)
煉華☆(プロフ) - 燐華さん» 返信遅れてしまい申し訳ありません。わざわざ申請してもらったのにこう言うのはなんなのですが、文章をしっかりと読んだ上での申請をお願いしております。フレンド数の上限の関係でこうなってしまって本当にすみません!拒否はしてませんので良ければお待ちしております (2019年9月27日 7時) (レス) id: fa2422e9a4 (このIDを非表示/違反報告)
ラズベリー(プロフ) - フレンド申請させていただきました。〈ラズベリー〉です!推しは旧双黒の2人です!このお話凄く面白いのでこれからも更新頑張って下さい! (2019年9月18日 16時) (レス) id: 56fb91a534 (このIDを非表示/違反報告)
燐華(プロフ) - フレンド申請させていただきました。ユーザー名は彼岸花です。 (2019年9月18日 9時) (レス) id: 7838562921 (このIDを非表示/違反報告)
煉華☆(プロフ) - サナさん» いただければ幸いです。 (2019年7月5日 15時) (レス) id: fa2422e9a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:煉華 | 作成日時:2016年12月19日 15時