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200話 ページ19

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暗い。真っ暗な闇の中
『…』
瞼を開けても閉じても真っ暗だ。
ここは……?
記憶を辿り直前までの自分の行動を思い出す。
確か遊郭で…兄の鬼を宇髄さんと共に倒そうとしていて…

『!』
ハッとなる。思い出した、そうだ私毒にやられて…
それで宇隨さんが…そうだ宇隨さんが…
…その後私、どうなったんだっけ。
体が物凄くダルい。
目が覚めたばかりなのに眠たい、凄い疲れてんなぁ何かやったっけ…
ボーッと思い出してせば、ふと頭の中に映像が流れてくる。
『あ…』

宇隨さんに鎌を向ける兄…それを見た途端、風のように速く動く私の体
音のない、身に覚えのない映像。
これって気絶してしまった時の…私の記憶だ

兄を吹っ飛ばしその場に立ち尽くす。
その時、右肩に強烈な痛みが走った。
何もしていないのに映像と呼応するように焼けるような痛みが走る。
…待ってくれよ、これって…これってまさか…

私はこの感覚を知っていた。忘れるはずもない
いやでも…だって有り得ないよね?
『っ』
しかし音のない映像の中で、月光で照らされた私の姿が地面へ影を作る。
…その影にはしっかり映っていた、私の右肩から揺らめく羽を。



現実味のない映像、いや記憶が一瞬で流れ込んでくる。
最後は瓦礫で視界が潰れた。
そうかこの闇は瓦礫の下…
道理でくぐもった音が響いているわけだ。

『……羽赫…』
喰種の時の、私と一心同体の武器。
私の相棒みたいなもの
まさか前世と同じような姿になるなんて。
鬼となり喰種と似た生物になったけど…もうこれで、同じようなものだな。

あの痛み、あの感覚…前世の事を思い出す。
かつての仲間の事や暮らしもだが…きっと永遠に忘れられない人間の味。
生まれ変わったとしても関係無い。
私の背負っていかねばならない業。
改めて私はどうしても人間になれないと実感する。

瓦礫の下で身動き取れず、淡々と瞬きだけを繰り返していれば…
((ドンッ
少し向こうで大きな音
なんだろう…何か大きな物が崩れた音かな。
いや爆発音か…
ぼんやりそんな事を考えていれば、ふと声が聞こえた気がした。

『…』
誰かの叫ぶような雄叫び…心から願う叫び…
そして皆の…善逸くん、炭治郎くん、伊之助くん、宇隨さんの顔が浮かぶ。

『…!!』
そうか……そうだよ、何やってんだ私
ここで寝ている場合じゃない!
まだ皆は外で戦ってる。
上弦の鬼と死闘を続けてるんだ!
皆が命を掛けているのに、鬼の私がこんな所に居る場合じゃない!!

.

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癒し系猫(プロフ) - 宇髄の髄は隨じゃありませんよ〜! (2023年5月2日 19時) (レス) @page20 id: 0e8640f8c4 (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - 呉羽さん» 作者の妄想やら想像詰め込みまくりですよ笑 そう言って頂けて嬉しいです! (2020年3月25日 21時) (レス) id: ec3dea80f5 (このIDを非表示/違反報告)
呉羽(プロフ) - 面白い!こういう話大好き (2020年2月20日 4時) (レス) id: 14d7fd66da (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - 呉羽さん» ありがとうございます!いつも応援して下さってますよね、本当に嬉しい限りです!頑張りますううううううううう!!! (2020年2月4日 7時) (レス) id: ec3dea80f5 (このIDを非表示/違反報告)
呉羽(プロフ) - おもしろいです。完結するまで毎日見るねええええええええええええええええええええ!!! (2020年2月2日 9時) (レス) id: 14d7fd66da (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まどろみ | 作成日時:2020年1月1日 21時

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