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195話 ページ13

俺を飛ばしたのは、なんとあの女だった。
毒で動けないはずなのに…いや動けても俺の不意を付ける訳が無いはず…

…コイツはただの鬼じゃない。
だからあの方も目をつけていたんだ
「面白くなってきたなあ」



『…』
俺を飛ばした後、そこに俯いたまま立つ女。
「…あぁ?」
何と言うか…嫌な気配だ。
先程までとは違う、威圧感があり不気味だ…
ただ立ち尽くしてるように見えるが、俺の長年の勘は油断を許さない。
コイツは危険だと全細胞が俺に言ってきた

…一体何なんだ?
俺が女を睨むように観察した、その時だ。
『…グッ、』
立ち尽くしていた女が急に呻き声を出した
足もおぼつかなくなり、その場に足を張っている。

…あ?何だ?…どういう状況なんだ?
何故かわかないが苦しんでいる様子。
毒の分解をしているのか?
いや動けているから分解は済んでいるはずだ、では一体…

この状況ですら俺は突っ込んで攻撃するのは危険だと思った。
女の威圧感、俺の勘が許さない。
それに、それどころか女の嫌な気配はどんどん強まっていくように思える

……と、
((バキッ バキバキ…
まるで骨が割れるような音がした。
『グァアッ…』
痛みに耐えるように背を丸める、そして次の瞬間。

女の右肩辺りが盛り上がる。
またしても骨が割れるような音がして、
((ボッ
「!?」
毒々しい血のような赤の羽が、女の右に揺らいでいた。



「…何だそりゃあ」
思わず目を見開いて、その羽に魅入られた。
肩辺りの核みたいな所から、脈打つように…炎のように揺らめいている。
蝶のように鱗粉を纏い月光を反射させる。
風も無いのに毒々しい赤がなびく

「…」
一瞬、呆然とその羽を見てしまった
何だアレ初めて見た、この俺が思わず魅入ってしまった。
羽が現れてから威圧感も増した。
毒にやられていたあの鬼とはまるで別人…

異形の鬼?いや少し違う。
異形ならば急に姿が変わらない、初めからその姿になっているはず。
血気術?…全く想像出来ない。
あんなものは初めて見た。聞いたことも無い。

『…』
女はもう痛みは無いのか、先程とは変わって静かに顔を上げる。
…その顔は"無"だった。
何も写していないような顔で目は虚ろ。
俺を見ているはずだが、写していない気がする。
はたまた俺じゃない何かを見ているような…

疑問がいくつも浮かぶ。
不明な事ばかりだが、やはり言えるのは…コイツ危険だ。
…思いがけねぇ敵だ。
俺が警戒しながら鎌を向けた、その時

女の姿がその場から消えた。

.

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癒し系猫(プロフ) - 宇髄の髄は隨じゃありませんよ〜! (2023年5月2日 19時) (レス) @page20 id: 0e8640f8c4 (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - 呉羽さん» 作者の妄想やら想像詰め込みまくりですよ笑 そう言って頂けて嬉しいです! (2020年3月25日 21時) (レス) id: ec3dea80f5 (このIDを非表示/違反報告)
呉羽(プロフ) - 面白い!こういう話大好き (2020年2月20日 4時) (レス) id: 14d7fd66da (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - 呉羽さん» ありがとうございます!いつも応援して下さってますよね、本当に嬉しい限りです!頑張りますううううううううう!!! (2020年2月4日 7時) (レス) id: ec3dea80f5 (このIDを非表示/違反報告)
呉羽(プロフ) - おもしろいです。完結するまで毎日見るねええええええええええええええええええええ!!! (2020年2月2日 9時) (レス) id: 14d7fd66da (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まどろみ | 作成日時:2020年1月1日 21時

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