今世でも私の主食は人間らしいので絶食することにします。~third~【鬼滅の刃】

135話 ページ44

しかし私は屋敷の中へ入った時に思い出した。
…善逸くん悲しんだかな
まあ任務だし仕方ないんだけど、あの時の彼のやる気の変わりようを思い出し申し訳なくなる。
『(…まあでも、禰豆子ちゃんも居るわけだし大丈夫か)』
屋敷に女子皆無というわけではない。
つまり彼のモチベがゼロにはならない、はず

「お帰り、A！」「怪我はねぇみてぇだな！」
彼らを探して歩いていたら、3人揃って机を囲んでいた。
修行の休憩中なのか菓子が置いてある。
『ただいま』
私が声をかけるより先に炭治郎くんが振り返って綺麗な笑顔を見せてくれる。
そして口をリスみたいにさせながら伊之助くんが言った。
私が帰ってきた事…きっと鼻でわかったんだろう。
毎度の事ながら彼の嗅覚は警察犬顔負け。
きっと彼の来世は犬…
いや、うん。そんな事はどうでもいいんだ
それよりも気になる事がある。
『…ぜ、善逸くん〜？』
善逸くんが何も言ってくれない。
お茶をすすりながら、視線が横に向いている。
いつもなら一番に「お帰り！」と抱きついてくるのに。…不貞腐れてるのかな

「こら善逸。Aが任務から帰ってきたんだぞ。まずはちゃんと"お帰り"を言わないと駄目じゃないか」
「……お帰り」
炭治郎くん、君は彼の兄か？
絶対炭治郎くんの方が年齢高く見えるって
圧倒的長男力のようなものが滲み出てる。
いやもう長男飛び越えて母性だ
人類を大分割したら確実にマザーテレサ系に分類されるな彼(？)。
『約束だったのにごめんね。言い訳になるけど、私も任務があったんだ』
この状況には関係ない事ばかりが浮かんでしまい、それを振り払うと私は口を開く。
なんでだろう、現実逃避みたいに頭が馬鹿な事ばっか考えてる。
自分でもわからないけど善逸くんに素っ気ない態度を取られたのが思いのほかダメージ来てる。
どうしてそんくらいで、しかも理由もあるというのに…なぜかマイナスな気持ちになった

「…それは俺もわかってるんだ。任務は仕方ない事だしAちゃんは悪くないんだよ。…けど、」
気になる所まで言って、黙ってしまう。
おい何だよ、"けど"の続きは？
なんで不貞腐れてるんだろう。私何かした？
グルグル考えていたら、そこまで黙って口を動かしていた伊之助くんがゴクンの全て飲み込む。
そして得意気に口を開いた


「俺はわかるぜ、山の王だからな。弱味噌お前、A子が男と楽しそうに帰ってきたのが嫌なんだろ」
『…ん？？』
フフンと鼻を鳴らす彼に私は思わず首を傾げた。



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