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96話 ページ4

少年は聞いても仕方がないか、と思い首を振る。
「…すみません、忘れてください。あの、頑張ってください気をつけて…」
Aはきょとんと首を傾げたが、笑顔を浮かべると「はい」と返事をして走っていく。



…Aの無意識領域に居たもの、それはAの前世での仲間達だった。
Aは前世では人を殺して喰らっていたため、生まれ変わって少しの間でも人間で居られたことが幸せだった。
鬼となってからも体が変化して人を食べないで済んでいる。

だけど前世の記憶は必ずしも全てが最悪だったという訳では無い。
前世には前世で、Aの大切な人達が居た。
助け合いのできる大切な仲間達。
Aは無意識下で彼らを想像していた。
普段は記憶のすぐ底に居るけど、決して忘れた訳では無い。
その仲間達が無意識領域でAの心を、精神の核を守っているのだ。

影響を受けてしまった少年は、自分の死よりも恐ろしいものがある事を知った。
まあかわりに、暗闇や血液を恐れるようになってしまうだろうが……
でも死よりも最悪なものはない、どうせ死ぬのだからと悪事を働こうとする心は完全に消え去った。
Aの…他人の精神の核を壊そうとしたからあの怪物達は現れた。
少年がまだ幼かったと言うこともあるが、悪事を働けばいつかあの怪物に似た何かがやって来ると考えたのだ。

Aの無意識領域は少年にトラウマを植え付けた。
しかし結果として少年には教訓となり、少年の心は良い方に転がった。
………たぶん









「A?行くぞ、」
『今行く!』
少年から呼び止められた私は、応援の言葉をもらうと先に走る炭治郎くんと禰豆子ちゃんに続いた。

車両と車両の繋ぎ目のところから外に出る。
途端に前方から強い鬼の匂いというか…気配を感じる。
これは那田蜘蛛山の鬼と同じ…いやそれ以上の圧がある。
きっとこの先に居る鬼こそ本命の鬼だ。
こんなに鬼の気配があるのに…列車が密閉されていたとはいえ、よくこの空間で寝ていられたな私。

「A!禰豆子と一緒にみんなを起こしてくれ!こっちは危ない!」
『いや危ないって言ったって炭治郎くん…君もでしょう!?私も…』
「煉獄さんの力が必要かもしれない!それに乗客の人達の事も不安だから…!」

確かに、今はいち早く柱を起こす必要があるか…
眠っている人達を襲いに来る別の鬼も居るかもしれないし……となると禰豆子ちゃんだけでは危険か。
『…わかった。気をつけてね炭治郎くん』
「ああ!」




.

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サワーポメロ(プロフ) - モブサイコ100知ってます!面白いですよね! (2020年4月23日 12時) (レス) id: 2fd1d8b796 (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - ふうさん» アオイちゃんが自分を腰抜けだと言っていたのは、過去に嫌なモブ隊士に言われちゃったりしたのかなぁと思って書きました。でもたぶん実際居ますよね、嫌な奴のは。作中で炭治郎くんが関わらなかっただけで、、、。もう私も本来なら目ん玉抉りたいレベルですよ!! (2019年11月9日 10時) (レス) id: ec3dea80f5 (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - ケチャップさん» けっこうな歳なのにヤンチャで凶器振り回す所、それが鋼塚さんの好きなポイントです笑 (2019年11月9日 10時) (レス) id: ec3dea80f5 (このIDを非表示/違反報告)
ふう(プロフ) - モブ隊士のくせにっアオイちゃん達いなかったら体力落ちてるくせにっどうせ今頃お陀仏のくせにっアオイちゃんを悪くいうなぁ!!目ん玉抉るぞぉ!!すいません冗談です許してください (2019年11月8日 18時) (レス) id: 0f2e7dcacf (このIDを非表示/違反報告)
ケチャップ - 鋼塚さん怖い…w (2019年11月2日 15時) (レス) id: 7bf493a5f5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まどろみ | 作成日時:2019年10月14日 14時

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