121話 ページ30
御館様は微笑む。
「…彼の意志を継いだ者が居ること、Aも知っているはずだよ。」
『…っ』
御館様の言葉がスっと入ってくる。
私の考えていた事全て分かっているかのようだ。
御館様は盲目らしいがそれでも私よりも多くの事が見えている気がする
私とは別の世界が見えている気がする。
例えば私のような鬼の心までも
「Aは優しい子だ。人の事を考えて、それ故に自分を責めてしまっている。でもその必要はないからね、感謝くらいさせておくれ」
御館様のフワフワする声と言葉。
…考えては自分で考えないようにして、そうやって繰り返したけどやっぱり最終的には己のせいだと思ってしまっていた。
それを御館様は否定した
…しかも私を優しいと言った。
鬼の私にまで、わざわざ話をしてくれた。
噂通りいやそれ以上に寛容な方だ。
無意識のうちに重たくなっていた心が晴れていく。
軽くなった気がした。
私の表情が変わったためか…いや御館様は見えないはずだから、空気でも感じ取ったのかな?…わからないけど、御館様も笑顔を浮かべた。
そして、
「Aこれからも鬼殺隊としての活躍を期待しているよ」
私はたくさんの気持ちが込み上げてきて、思わず口は弧を描く。
"鬼殺隊として"、その言葉も嬉しい。
『はい…っ』
御館様が部屋へと戻られた後、庭の石の上に降り立った私はそっと息を吐いた。
…初めは凄い緊張していた
でも話していたら御館様の声色などから、それらは消えていった。
振り返って屋敷を見る。
……御館様ってホント凄い方なんだな…
改めて思っていると「おい」と呼ばれる。
『はい…?』
振り返って気がついた、あまりにも静かで…おまけに全然気配が無かったから忘れていた。
この場にはもう一人居たんだ
姿を見ればどうやっても視界の端に映ってしまいそうな見た目なのに
「お前、前に見た時より地味な面じゃ無くなってるな」
『褒めてるんですか…?』
前までは地味な面という事か?
というか地味な面って何だよ、ブスか?ブサイクって言いたいのか?
もはやソレ悪口じゃないか、面と向かって言うならわざわざ遠回しで言う必要無くない?
『(…にしても)』
…この派手男。コイツがずっと居たんだよね
だけど気配を消して背後に立っていた事にも気づかなかった。
こんなデカい図体しているのに、風一つ動きがなかった…
眉を潜めて派手男を見ると、彼はニヤリと笑う
「なんだそんなに見て。この宇髄天元様に見惚れたか?」
『なわけ』
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サワーポメロ(プロフ) - モブサイコ100知ってます!面白いですよね! (2020年4月23日 12時) (レス) id: 2fd1d8b796 (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - ふうさん» アオイちゃんが自分を腰抜けだと言っていたのは、過去に嫌なモブ隊士に言われちゃったりしたのかなぁと思って書きました。でもたぶん実際居ますよね、嫌な奴のは。作中で炭治郎くんが関わらなかっただけで、、、。もう私も本来なら目ん玉抉りたいレベルですよ!! (2019年11月9日 10時) (レス) id: ec3dea80f5 (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - ケチャップさん» けっこうな歳なのにヤンチャで凶器振り回す所、それが鋼塚さんの好きなポイントです笑 (2019年11月9日 10時) (レス) id: ec3dea80f5 (このIDを非表示/違反報告)
ふう(プロフ) - モブ隊士のくせにっアオイちゃん達いなかったら体力落ちてるくせにっどうせ今頃お陀仏のくせにっアオイちゃんを悪くいうなぁ!!目ん玉抉るぞぉ!!すいません冗談です許してください (2019年11月8日 18時) (レス) id: 0f2e7dcacf (このIDを非表示/違反報告)
ケチャップ - 鋼塚さん怖い…w (2019年11月2日 15時) (レス) id: 7bf493a5f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まどろみ | 作成日時:2019年10月14日 14時