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108話 ページ16

どうにか助からないのかと、炭治郎くんが止めようとするも煉獄さんは構わず続けた。
「俺はもうすぐ死ぬ。喋れるうちに喋ってしまうから聞いてくれ」
本人の口から死を言われると、どこか重みが違うような気がした。
煉獄さんは目を閉じて思い馳せるような表情を浮かべる

弟には自分の心のまま正しいと思う道を進んで欲しい、父には体を大切にして欲しい…
そして、
「竈門少年、俺は君の妹を信じる。鬼殺隊の一員として認める。小鳥遊少女、君もだ」
煉獄さんが少しだけこちらを振り返って笑う。
「汽車の中で竈門少女が血を流しながら人間を守るのを見た。小鳥遊少女は先程までずっと俺と共にあの鬼と戦ってくれた。俺の体力が持つように様子を伺いながら。」
……気づいていたんだ
私なりに頑張って連携していた事を。
「命をかけて鬼と戦い人を守る者は誰がなんと言おうと鬼殺隊の一員だ。胸を張って生きろ。己の弱さや不甲斐なさにどれだけ打ちのめされようとも、心を燃やせ。歯を食いしばって前を向け。」
足を止めて蹲っても、時間は止まってくれない。
共に寄り添い悲しんでくれたりなどしない。
煉獄さんの言葉が心にスっと入る。
「俺がここで死ぬことは気にするな。柱ならば後輩の盾となるのは当然だ。柱ならば誰であっても同じ事をする、若い芽は積ませない。」

「…竈門少年、猪頭少年、黄色い少年……もっともっと成長しろ。」
今度は君たちが柱となって鬼殺隊を支える番だ、と。
「俺は信じる。君たちを信じる。」









煉獄さんは目を閉じた。
最期は少し笑みを浮かべながら。

……少しすると禰豆子ちゃんを背負った善逸くんが歩いてきた。
…良かった、見たところ外傷は頭の傷だけだ。
善逸くんは私達の様子を見て、あるいはその凄く良い耳で煉獄さんの音が消えてしまったことに気づいたようだった。
「列車が横転する時…煉獄さんがいっぱい技を出しててさ。車両の被害を最小限に留めてくれたんだよなぁ」
…そうか、鬼の筋肉みたいな奴だけじゃなくて煉獄さんのおかげもあり衝撃が少なかったのか。
「死んじゃうなんて…そんな…ほんとに上弦の鬼来たのか?」
「うん」
「なんで来んだよ上弦なんか…そんな強いの?そんなさぁ…」
「うん…」

認めたくない、善逸くんもそうなんだ。
顔が歪んで太陽の光を反射させた金色の瞳がボヤける。
「…悔しいなぁ、何か一つできるようになっても、またすぐ目の前に分厚い壁があるんだ。」
俯いた炭治郎くんが口を開いた。



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サワーポメロ(プロフ) - モブサイコ100知ってます!面白いですよね! (2020年4月23日 12時) (レス) id: 2fd1d8b796 (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - ふうさん» アオイちゃんが自分を腰抜けだと言っていたのは、過去に嫌なモブ隊士に言われちゃったりしたのかなぁと思って書きました。でもたぶん実際居ますよね、嫌な奴のは。作中で炭治郎くんが関わらなかっただけで、、、。もう私も本来なら目ん玉抉りたいレベルですよ!! (2019年11月9日 10時) (レス) id: ec3dea80f5 (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - ケチャップさん» けっこうな歳なのにヤンチャで凶器振り回す所、それが鋼塚さんの好きなポイントです笑 (2019年11月9日 10時) (レス) id: ec3dea80f5 (このIDを非表示/違反報告)
ふう(プロフ) - モブ隊士のくせにっアオイちゃん達いなかったら体力落ちてるくせにっどうせ今頃お陀仏のくせにっアオイちゃんを悪くいうなぁ!!目ん玉抉るぞぉ!!すいません冗談です許してください (2019年11月8日 18時) (レス) id: 0f2e7dcacf (このIDを非表示/違反報告)
ケチャップ - 鋼塚さん怖い…w (2019年11月2日 15時) (レス) id: 7bf493a5f5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まどろみ | 作成日時:2019年10月14日 14時

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