今世でも私の主食は人間らしいので絶食することにします。~third~【鬼滅の刃】

106話 ページ14

猗窩座はしきりに焦っているように見えた。
理由はわかる、日の出が近いからだ。
山肌から既に少し覗いている。
今ここで倒さなければ逃げられてしまう！！
私は固くなった膝に力を入れると煉獄さんのもとへ走った。
絶対に逃がさない。
私も今はただの鬼と同じで日光から逃げなければならない。
列車内に羽織を置いてきてしまっているからだ。
灰になってもコイツは絶対にここで殺す。

「伊之助動けーっ！煉獄さんのために動けーっ！！」
炭治郎くんが叫ぶ。
いつの間に来ていたのか、伊之助くんは刀を構えると猗窩座に向かって走る
伊之助くんが刃を振るおうとした時、
((ドウッ
猗窩座が高く飛んで交わした。
煉獄さんの刀身と自身の両腕を引きちぎったんだ。
倒れる煉獄さんを咄嗟に支えて地面へ横だわせると私は猗窩座の元へと飛んだ。

太陽がもう昇ってきていた。
刀で殺せなくとも、今ここで火炙りにする！
意識が完全にこちらに向いてなかったから、私の拳は綺麗に猗窩座に届いた。
一瞬止まる猗窩座の体。
しかし完全に余裕のない顔の彼は、既に回復した両腕で私の右肩を引きちぎる。

さっきまで私が猗窩座と戦えていたのは、煉獄さんが居たからだ。
本気の上弦に一体一だと力の差は歴然。
向こうから地面に光がさしてきた。
直にここも日が当たる。
猗窩座は肩が回復する前に足も弾き飛ばして来た。
倒れてしまう、猗窩座を日陰のところへ行かせてしまう！！
残った左手を伸ばすが、交わされてしまった。

『くっそ…！』
回復が異様に遅く感じる。
実際はそんな事無いのだけど、今は一秒を争うんだ。
左腕で地面を這いながら走っていく猗窩座を追う。
はやく足よ回復してくれ、戻れ戻れ戻れ…
顔を上げれば猗窩座は森へと消えていく所で。
『っっ！』



炭治郎くんが刀を猗窩座目掛けて投げた。
槍のように飛んでいった刀は、見事猗窩座の背中に突き刺さる。
ちょうど私の足も戻った。
…日光はもうすぐそこまで来ていた。
何とかして猗窩座を日光の下へ晒す！！

「逃げるな卑怯者！逃げるなァ！」
炭治郎くんの叫びを耳に、より一層力を込めた。
しかし、
『っつ』
日光がここに届いてきていた。
猗窩座に引きちぎられ素足となった足が、日光に当たって燃えて行く。
頭も熱い、体全てが暑い。
私だけ灰になったって仕方ないだろう！！
猗窩座を連れてこなきゃ意味がないのに！
ここから猗窩座の逃げていった森へは何メートルかある
踏み込めば日陰なのに体は燃えて消えていく







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