1話 ページ3
私、小鳥遊 Aは俗に言う"転生トリップ"とやらをしてしまったらしい。
そのことに気がついたのは赤ちゃんのときだ。
けっこう早い方じゃないだろうか
みんな着物着てるしなんか色々身の回りの環境から考えてはじめはビビったけれど…
9歳を迎えた今はもう慣れた。
というか明日には私、もう10歳になるからね。
大正時代は前世と比べたら不便なところも多いけど私ははじめて"人間"として生活できていることが、どんなことよりも嬉しかった。
普通の家庭で普通に家族がいて、普通に食事をする。
あーもう、これ以上の幸せってあるかな
前世と合わせて17+9で26年だけど、今の生活を超えるものはないな。うん
私のこの世界での両親は小さなお弁当屋を営んでいた。
山の麓に家があり旅の人など通りかかってが買っていく。
売上はけっして多くなさそうだけど家族で暮らしていくには余裕だし、すぐ先の村の人達とも仲がいい。
私はこの時、山の中でお弁当を作るのに使う山菜を取っていた。
背中に背負った籠がいっぱいになる。
ちょっと採りすぎたかな、もう夜になってしまった。
『心配してるかな…』
『……ん?』
山を降りて、家が見えてきた頃。
私は嫌な予感がして足を止めた。
家の方、何がとかハッキリとはわからないけれど…
とにかく嫌な予感がする。
急いで走っていくと、私は気づいてしまった。
………………血の匂い。
前世では嫌という程嗅いだあの匂い。
『っっ』
家が近づくにつれて匂いは濃くなる。
まってよ、いや、まさか…
家の玄関の方へ回ってみると戸が開いていた。
中へ入れば一層濃くなる匂い。
『…』
籠をその場へ置くと、私は山菜をとるのに使った鎌を持つ。
警戒しながら進むと目の前に現れたのは血の海だった。
『は…っっ』
手足が冷たくなり冷や汗が流れる。
うまく酸素が吸えない。息が荒くなる。
「……おや、もう一人いたのか。」
手足をむしり取られた母さん。
内蔵の飛び出た兄弟。
人の形を成して居ないけど、たぶん父さん。
こんな状況なのに私の目は冷静に目の前の光景を写していた。
こんなに息が切れてるのに、焦っていて、怒りで真っ赤になりそうなのに………
「これを見ても取り乱さないとは…面白いガキだな。」
そんな家族の近くにいたのは一人の男。
色白な肌に赤い目。
人間離れしたその男は私にヒタヒタと近づいてくる。
「……いや違うか。認められないのか」
見下ろしてくる男から目が離せない。
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まどろみ(プロフ) - 猫宮さん» ありがとうございます!! (2019年11月24日 17時) (レス) id: ec3dea80f5 (このIDを非表示/違反報告)
猫宮 - こーいう作品大好き!かまぼこ隊も大好き!最高! (2019年11月14日 17時) (レス) id: a4825ec2c2 (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - kori1224さん» ありがとうございます!ゆっくりですが毎日更新目指しますね! (2019年9月28日 8時) (レス) id: ec3dea80f5 (このIDを非表示/違反報告)
kori1224(プロフ) - こう言う作品好きです!更新頑張ってください!!! (2019年9月25日 22時) (レス) id: 6a27cb7555 (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - あんこさん» ありがとうございます!その言葉だけで更新頑張れます! (2019年9月9日 15時) (レス) id: ec3dea80f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まどろみ | 作成日時:2019年8月29日 21時