御伽噺！ ＿kn ページ24
※口兄 鬼2
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『アラ、こんばんは。きれいなきんぱつの男の子。今日はとっても 夕やけがうつくしいと思わない？』
「………誰や、お前」
汚ならしくて、みすぼらしい格好の女が いつもの公園のブランコに座っていた。
ぼろぼろの汚れたワンピースと ぼさぼさになった髪の毛。靴なんて存在していないかのような素足。光の無い黒い目。へったくそな笑顔。
年相応と言えばそうだが、大人びているとも見える。横顔がオレンジ色の眩しい光に照らされて、その地味に整っている顔立ちが目立った。
『わたしはね、Aっていうの。ままがつけてくれた たいせつなお名まえよ。あなたは？』
目を細めながら微笑んだ。コイツの言った「まま」を 心から愛し、眺めているように笑った。
「………、コネシマ。」
『コネシマね。ありがとう、おしえてくれて』
「…おん。…隣、座ってええか」
『いいわよ！』
キコ、と ブランコが揺れる。
なんで教えたんやろか。別に教えなくても 何も変わらないというのに。ぽろりと口から出てきた自分の名前。…名前というより、あだ名やけど。
『コネシマはとってもカッコいいのね。まるでおとぎ話の王子さまみたいだわ！』
純粋なそれ。他意など無いような、透き通った褒め言葉やった。いつもは言われてウンともしない言葉やのに、突然心臓が高鳴った。
「…お前は灰かぶりみたいやけどな」
『アラ、ひどいこと言うのね？…でも、そうかもしれないわ』
ちょっと頬を膨らまして、すぐに萎んだ。夕焼けを見ていた目は下を向いた。美しかったであろう 白のワンピースは、今や泥と砂で汚れている。
『……ねえコネシマ。きいていいかしら』
「何や」
『わたしって、醜い？』
「……」
黙る。オレは何も言えない。外見だけ見れば醜いかもしれない。どこもかしこも汚れていて 女とは思えんくらい。
が、性格はそこまで醜くないかもしれない。…分からない。
「……今は答えられへん」
『そう……』
悲しそうな顔をした。笑顔よりも、感情がひどく分かりやすい顔だった。目に張られた薄い涙の膜が 日の光できらりと光った。
『……そろそろ、お家にかえるじかんね。じゃあ、また会いましょう、コネシマ。』
「…おう」
悲しみに歪んだ下手くそな笑顔。逆光のせいで、泣いているようにも見えた気がした。
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まる麺 - タイトル回収が天才すぎです、！面白かったです！ (7月19日 14時) (
レス) @page49 id: 81fa0833c9 (このIDを非表示/違反報告)
戦慄(プロフ) - わあああ…すっごいすきです…どのお話もとっても素敵です…！ (2023年1月3日 12時) (レス) id: e831999098 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さき。 | 作成日時：2022年8月23日 9時
