軟禁誘拐事件再再 _奏※ ページ18
※わたしだけの と似たようなお話です。
※タイトルからもそうですが、キャラヘイト注意
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A side
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紙とカップヌードルにまみれた奏の部屋。空っぽの箱の置いてあるリビング。その他。
冷蔵庫の中には少しの作り置きの料理があって、奏の部屋のテーブルの下には 何がどれに繋がってるか分からないケーブルがあって、トイレには液の減った芳香剤がある。
私の家よりも住みやすくて、過ごしやすくて、何よりここには奏が住んでいる。それだけで、私にはどこよりも優良物件に感じる。
3食全部が 熱々のカップヌードルでも、奏といっしょに食事ができるなら 何も文句は無い。奏が構ってくれなくても、奏が私の隣にいてくれるなら 何も文句は無い。
私の家より 奏の家がよかった。両親が来るんじゃないかって不安だったけど、案外にも両親は来なかった。奏はそれを喜んでいた。
「Aは ずっと私の家にいればいいんだよ。私が守ってあげるからね」って言って、奏は私のおでこにキスしてくれた。
いつしか奏は、もう一人誰かを連れてきた。二人ともびしゃびしゃに濡れていて、項垂れていた。私は急いでお風呂を沸かして、二人をお風呂に入れた。
まふゆというらしい紫髪のお姉さんは、私と似たような境遇らしい。今はうつむきながらホットミルクを飲んでいる。
「だから… これからはまふゆも暮らすから。まふゆは口が堅いから、Aのことは誰にも言わないと思う」
無理に仲良くしなくてもいいけど、仲良くしてくれたら嬉しいな、なんて。
奏は少しだけ笑って私にそう言った。ぐる、と嫉妬心が胸の奥で渦巻くのが分かった。
私と奏、時々来るお手伝いさんの望月さんだけの、お城だったはずなのに、こんなにも簡単に、崩されてしまうなんて。
でも奏が手を差し伸べているなら、言い方は悪いけど まふゆさんも被害者で、助けられるべき人物で。
私が こどもみたいな嫉妬心で 邪険にする権利なんてなくて、優しくされるべきであって。
奏の髪を乾かしながらぐるぐる考えて、吐き気を催した。拒絶したかった。『私はまふゆさんと仲良くしたくない』って言えたらよかった。
奏の優しさは万人にも効く薬で、国宝級で、それはそれは素晴らしいものだけれど、時にそれがひどく恨めしくなる。
ドライヤーの音がうるさく感じて、ホットミルクを啜る音が憎たらしくなって、1人で勝手にえずいていた。
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さき(プロフ) - ふみふゆさん» 迷惑だなんて、とんでもない!とっても嬉しいです!ありがとうございます…!! (2月6日 19時) (レス) id: bc9aead4c2 (このIDを非表示/違反報告)
ふみふゆ(プロフ) - 迷惑だったらすみません、雰囲気とか話し方とか、全然壊れてなくて好きです…… (2月6日 18時) (レス) @page12 id: aed784c8de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さき。 | 作成日時:2023年9月12日 23時