幸せとともに。/ lntn ページ7
やけにポップな目覚ましの音に目を開ける。俺のじゃないスマホのアラームを止めてすぐ隣を見ると、アラームを仕掛けた本人である楓がスヤスヤと寝息を立てていた。
今日は仕事が休みだったはず。それでも鳴っていたアラームに社会人の辛さを思いつつ楓の頬をつつくと、ぐ、となんとも言えない声をあげるから、面白い。
「んぐ……な、に……」
「…楓？」
驚いて手を引っ込めて、楓の顔をじっとみる。良かった、起きてない。
相変わらず学生の頃から変わらない、むかつくくらい可愛い寝顔をしていて、さっきのが寝言だと気づいた。
「かえる……」
「……ここ家だけど。」
お仕事お疲れ様です。労いを込めて頭を撫でるとむり…とこぼすので、また面白くてつい笑ってしまった。
おしゃべりな人間は寝ていてもお喋りなんだろうか。というか、どんな夢を見てるんだろう。楓みたいに賑やかな夢なんじゃ、
「や…と…」
「は？」
思わず顔がこわばる。撫でていた手をしまい、楓の顔をじっと見つめる。いや、かわいいけど違う、やまと誰？
そりゃ元彼いるだろうけど。そんな夢にまで出るくらい好きだったやつがいんの？俺以外に？
考えれば考えるほど胸が荒立って、気づけば楓の手を強く握りしめていた。
不安が頭の中を渦巻いて、とうとう耐えられなくなって、楓の名前を呼ぶ。
「楓、楓。起きて。」
「……ぅ…え…え？」
「……おはよ。起きて。」
「ぅー…うん……？｣
寝ぼけ眼な楓の頬を撫でると猫みたいに目を細めて、俺の手に擦り寄る。
愛おしさで胸が満たされるけど、不安の種について聞くことは出来ない。
「うん……目ぇさめたかも。おはよ〜…」
「おはよ。…アラーム鳴ってたよ」
「えっまじ？ごめんね。ていうかどうしたの？珍しくはやいね」
「……まあ、なんとなく」
ふうん、とだけこぼすいつも通りの姿に思わず安心していると、着替えようか、と伸びをした。
ベッドから出る楓の小さな背中に、我ながら面倒くさい男だ。とため息を零す。
それでも、
「蘭たん、今日は買い物行こうよ。デートしよ、デート！」
こんな俺にも楽しそうに笑ってくれる楓の顔を見ていると、俺の持つ気持ちを受け入れてくれてる気がして、なんだか心が軽くなる。
「……うん、いこ。」
心に比例して重くるしかった体は、さっきよりも軽くなっていて。
楓を抱きしめるために、俺はベッドから抜け出た。
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相田(プロフ) - 本当に素敵な作品をありがとうございました、そしてお疲れ様でした！ログアウト後もどうかご自愛ください。楓様の作品が本当に好きです、改めてありがとうございました！ (2021年7月17日 1時) (
レス) id: 2ca09c2594 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - 相田さん» コメント頂きありがとうございます。アカウントの方は完結後ログアウトとなりますが、もし機会があればまたどこかで…！ (2021年6月30日 2時) (レス) id: bb94798393 (このIDを非表示/違反報告)
相田(プロフ) - 日々の支えであった楓様の作品を拝めなくなると思うととても寂しく思いますが、アカウントを消された後もどうかお元気で...！ (2021年6月30日 2時) (レス) id: 2ca09c2594 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楓 | 作成日時：2021年3月25日 11時
