酩酊のせいにして / 8 ページ43
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タバコとジッポを手のひらに収めベランダを開けると、スマホを片手に肩を揺らす彼女がいた。いつもの様子と相まって上機嫌なAにどうしたの、と問えば、返ってきたのはご機嫌な笑い声と、少し照れたような表情だった。
「友達がさ、ベロっべろになったんだけど」
へぇ、とだけ返した。興味が無いということではない。Aが共に居たんだろうし、すぎるさんが何かしら対処してるはずだからという確実なる信頼がそこにあるからだ。そう考えて、俺も随分と、他人に心を許すようになったんだろう。なんて感慨深い思いになる。
「酔っ払うとあの子、マジで面白いんだよね」
「あぁ…まあ、騒がしい子だしね」
「そうそう…あとね、凄い素直なんだよ」
「素直ねぇ」
タバコに火をつける。吸っている様子のないAに煙が行かないようにと少し距離を取るも、いつもだったら過剰に嫌がる彼女が何も反応しない辺り、心底嬉しかったのだろうということか伺えた。
「お酒入るとべろべろなのもそうだし、好意が直球なんだよね」
「…へえ」
じじじ、とタバコが焼ける音が喧しく聞こえた。
俺のマイナスな部分を補うように彼女は、Aは幾分もプラス思考だが、上機嫌な彼女は酒にでも酔ったような酩酊したような、そんな姿でにこやかに語る。
「会えてよかったとか、毎日話せないの寂しいとか。ほんと、こっち来てよかったなって」
あどけない笑顔を見せるAに心の奥蓋が釈然としないような感覚に陥る。自嘲的な感情に浸る胸の内がじわりと苦いものに蝕まれ、またタバコを深く吸い込んだ。
「Aは、毎日話したいの」
え、と声を漏らすAに後悔と悔悟の念に駆られた。あまりにも淡白すぎたその声色に動揺を示した顔のAにごめん。と謝って、それでも顔を見やる。
「…友達さん？と、遊びたいなら、遊んでおいでよ」
「え、え、違うけど、なに、はっち、」
何故だか嬉しそうに頬を染め、それでも苦しそうなAがバタバタと慌ただしく俺のそばによった。
「怒った？え、ごめんほんと」
「いや…」
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相田(プロフ) - 本当に素敵な作品をありがとうございました、そしてお疲れ様でした！ログアウト後もどうかご自愛ください。楓様の作品が本当に好きです、改めてありがとうございました！ (2021年7月17日 1時) (
レス) id: 2ca09c2594 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - 相田さん» コメント頂きありがとうございます。アカウントの方は完結後ログアウトとなりますが、もし機会があればまたどこかで…！ (2021年6月30日 2時) (レス) id: bb94798393 (このIDを非表示/違反報告)
相田(プロフ) - 日々の支えであった楓様の作品を拝めなくなると思うととても寂しく思いますが、アカウントを消された後もどうかお元気で...！ (2021年6月30日 2時) (レス) id: 2ca09c2594 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楓 | 作成日時：2021年3月25日 11時
