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「キヨが選択してきた世界だけじゃないよ、それでもキヨは、最善を選ぼうと努力したんでしょ？」
いつもと変わらない笑顔なのに声が無機質で、なんだか怖くなってしまう。Aは銃を俺の手に握らせ、自分の喉元へ突きつけた。
俺は、そんな様子をじっと見つめるだけ。動けないんだ、何故か。まるで自分の体じゃないみたいだ。
「これが最後、おまけ要素みたいなものだから、いつもみたいに選択肢を選べばいいよ。」
なんでもないように言うAを抱きしめたい、けれど腕は動いてくれない。俺はここにいるのに。
頭に浮かぶ言葉は、どれも救いがない。ほぼ一択じゃないか、こんなもの。放棄したくても出来ない状況に叫びたい、苦しい。けれどAは笑顔で、まるで全部わかってたみたいに優しく微笑んでいて。
かち、時計の針の音が頭の中に響いた。それと同時に痛む腕。何が起きた、なんでAは、倒れてるんだ。
「っA！！！」
弾かれたようにAへ寄る。俺が撃った？時間切れか？選択肢を、誤った？
とめどなく流れ出る青で俺の手や服が濡れるが、そんなの関係ない。手を握るとキヨ、ともう声にもならないノイズが漏れた。
「あなたが、すき」
「A、わかんないよ、もう喋るな、喋らなくていいから、なあ、」
はくはくと口を動かし続けるAは相変わらず優しげに笑っている。頼むから、居なくならないでくれ。
「ありが、とう」
「……A、A？なあ、おい…っ」
微笑んだまま完全に動かなくなったAを揺する。生命活動を停止したただの機械は、なんの音も発さない。
突如場面は暗転し、エンドロールが流れ始める。
製作者や演者の名前が連なる中、Aの名前はない。
それでも、確かにAは俺の腕の中にいる。こうして事切れた命として、ここに。
目の前に選択肢が現れる。俺が選んだと思っていたものがたりは、きっと誰かが決めたものを選んで決めたものだった。
Aの手の感触を確かに感じ、俺は目を閉じる。
カチ、と時計の針の音が聞こえた。何も起こらない世界を鼻で笑って、こめかみに向けた銃口の引き金を引いた。
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相田(プロフ) - 本当に素敵な作品をありがとうございました、そしてお疲れ様でした！ログアウト後もどうかご自愛ください。楓様の作品が本当に好きです、改めてありがとうございました！ (2021年7月17日 1時) (
レス) id: 2ca09c2594 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - 相田さん» コメント頂きありがとうございます。アカウントの方は完結後ログアウトとなりますが、もし機会があればまたどこかで…！ (2021年6月30日 2時) (レス) id: bb94798393 (このIDを非表示/違反報告)
相田(プロフ) - 日々の支えであった楓様の作品を拝めなくなると思うととても寂しく思いますが、アカウントを消された後もどうかお元気で...！ (2021年6月30日 2時) (レス) id: 2ca09c2594 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楓 | 作成日時：2021年3月25日 11時
