猫の陽だまり /ky ページ17
私の腰に腕を回して抱きつく、猫のような彼の頭を撫でる。
何度言ってもこの腕を話してくれない彼にため息をこぼす。
｢帰りたいんですけど…｣
｢……なんで｣
｢なんでって…｣
子供っぽいような、ぶっきらぼうに言うキヨさんの顔は赤らんでいて、テーブルには缶チューハイが4本ほど。
そこまでお酒に強いわけじゃない彼が無理をした理由なんて、安易に想像できた。寂しがり屋なのだ、キヨさんは。
｢俺がいるじゃん。いかなくていーじゃん｣
｢いや、なにそんな。同棲もしてないんですから…｣
｢……住めばいいじゃん｣
呂律の回らない言葉と反対に腰に回った腕の力は強まる。
簡単なようでむずかしいものだ、というのは彼が1番理解してるはずで。
それに、私だって出来ることなら大好きな大好きな彼氏様と住みたいし。
｢……キヨさん｣
顔をぐりぐりと私のお腹に押し付けるものだから、くすぐったくて身じろいだ。
無言のまま動かないキヨさんの髪を触る。すこしごわごわしてて、ふわふわしてる。
キヨさんの顔と同じく赤みがかった黒髪は彼によく合っていて、嬉しい気持ちと複雑な気持ちがまぜこぜになった。
知らない女の子にキャーキャーされて、その中心に彼がいて、嫉妬しないわけが無い。
キヨ、と名前を呼ぶ。彼の顔がゆっくりと上がった。
無表情、だけど寂しそうで、今にも泣きそうなくらい瞳は揺れている。
｢ね、結婚しちゃおうよ｣
｢…え、｣
驚きで目を丸くするキヨさんにキスをすると、困ったように眉を下げた。
｢A、結婚とか嫌なのかと思ってた｣
｢えぇ？私、そんなこと言ったかなあ｣
｢違うけど、いや、え？｣
混乱するキヨさんの腕から抜け出した。
立ち上がった私の足元で目をぐるぐる回すキヨさんがなんだか可愛くて、また頭を撫でた。
｢俺、もうわけわかんねえ｣
｢あはは、だよね。でも、思っちゃった。｣
そう、思っちゃったのだ。結婚しようかな、なんて軽い気持ちで。それがつい口をついて出てきてしまった。
｢…俺、死ぬほど幸せかも知んない｣
真っ赤な顔を両手で覆うキヨさんの呟きに胸がきゅんとして、彼の大きな体に抱きつく。
｢ね、幸せにしてね｣
｢………当たり前だろ…｣
目を細めて笑う彼に私も笑って、胸の奥が温まる、そんな幸せを感じる。
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相田(プロフ) - 本当に素敵な作品をありがとうございました、そしてお疲れ様でした！ログアウト後もどうかご自愛ください。楓様の作品が本当に好きです、改めてありがとうございました！ (2021年7月17日 1時) (
レス) id: 2ca09c2594 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - 相田さん» コメント頂きありがとうございます。アカウントの方は完結後ログアウトとなりますが、もし機会があればまたどこかで…！ (2021年6月30日 2時) (レス) id: bb94798393 (このIDを非表示/違反報告)
相田(プロフ) - 日々の支えであった楓様の作品を拝めなくなると思うととても寂しく思いますが、アカウントを消された後もどうかお元気で...！ (2021年6月30日 2時) (レス) id: 2ca09c2594 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楓 | 作成日時：2021年3月25日 11時
