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そもそも高校生3人が一緒の家に住んでいること自体不思議だ。顔も似ていなかったから、兄弟ということではないのだろう。
私は追いつかない脳内で月ノ美兎さんの質問を復唱する。
悪魔?魔法使い?鬼?全部童話の中のキャラクターだ。存在するわけが無い。
私の沈黙を察したのであろう。月ノ美兎さんは「百聞は一見にしかず、ですね。」と言うと立ち上がり、スマートフォンを操作し始めた。
数分後、月ノ美兎さんは部屋からいなくなり、そしてまたその数分後部屋に戻ってきた。
「少し、驚くかもしれませんが…」
月ノ美兎さんがそう言った直後、扉が開き、軽快な声と共に今まで見た事のない生き物が宙を浮いて月ノ美兎さんの肩に止まった。
「いかいのとびらがひらかれた〜!」
フワフワした毛並みに、大きい瞳。まるでなにかのぬいぐるみのような、マスコットキャラクターとしか考えられない生き物が、人間の言葉で話しかけてきた。
「……コアラ、ではないですよね、えっと、猫?にしてはバランスが…そもそも宙を浮いて移動する生き物は……」
重たい頭を動かし、必死に考える。
仕掛けぬいぐるみ?それにしては精巧に作られすぎている。
「ぼくはおそろしいあくまだぞ!こあらじゃない!」
「恐ろしい、悪魔、ですか。」
戸惑いを隠せない私を見て、悪魔と名乗る生き物はシシシと満足気に笑った。
「おまえ、ぼくのけいやくしゃになるか?」
「えっと、契約者……」
私は頭を抱えながらソファに座り込む。
一体これはどんな夢だろうか?
目の前で得体の知れない生き物が悪魔と名乗り、契約を結ばせようとしてくる。
今まで読んできた小説であったら、ここで悪魔と契約してしまうと死後なんらかの見返りがくる。
……と、そんなことを考えている場合ではない。
私は悪魔と名乗る生き物をクスクスと眺める月ノ美兎さんに言った。
「これは、どういうことなんでしょうか。」
困惑を隠せない私の様子は予想の範疇だったのであろう。美兎さんは頷くと説明する。
「信じられないかもしれないけど、この子……この恐ろしい悪魔さんは、本物なんですよ。」
「本物、というと」
状況を飲み込めない私に美兎さんは確認するようにハッキリという。
「本物の、悪魔です。」
美兎さんにそう紹介された悪魔さんはまたシシシと楽しそうに笑うと、バサッと翼を広げて私の方に来て言った。
「ぼくはおそろしいあくま でびでび・でびる!おまえをけいやくしゃにしてやる!」
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WAJ - ゆめなさん» ありがとうございます!そう言っていただけると本当に力になります!これからも応援よろしくお願いします! (2021年2月25日 10時) (レス) id: fa85d0ee74 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめな(プロフ) - 好きです…!!毎日更新が楽しみです!! (2021年2月24日 23時) (レス) id: 9f72c6a150 (このIDを非表示/違反報告)
WAJ - 野生のきゅうりさん» 応援ありがとうございます!長編になる予感はしていますがもうオチまで考えているので最後まで主人公を導けるように頑張ります!よろしくお願いします! (2021年2月16日 9時) (レス) id: 59ac59be38 (このIDを非表示/違反報告)
野生のきゅうり(プロフ) - 好きな感じのやつです……!!!更新頑張ってくださいー!続きが気になるヤツ久しぶりに見ました笑 (2021年2月16日 0時) (レス) id: 66eb00c237 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:WAJ | 作成日時:2021年2月7日 1時