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双つの黒 5 ページ46

「……それが?」

「今夜だけは邪魔をするな。互いの為に」

社長はそこで一旦区切る。

「街に生き、街を守る組織として、異国の異能者に街を焼かせる訳にはゆかぬ」

「…組合は強い。探偵社には勝てません」

それはポートマフィアも同じことだと思う。
森はそれから「太宰君」といつの間にか座っていた太宰さんを呼んだ。

「マフィア幹部に戻る勧誘話は未だ生きているからね」

そんな話は聞いていない。驚いて太宰さんの方をみるが、太宰さんは涼しい顔をして森をみたままだった。

「真逆。抑も私をマフィアから追放したのは貴方でしょう?」

「君は自らの意志で辞めたのではなかったかね?」

「森さんは懼れたのでしょう?いつか私が首領の座を狙って、貴方の喉笛を掻き切るのではと。嘗て、貴方が先代にしたように」

森鴎外が首領になった瞬間。太宰さんはその光景をみていたのだろうか。

「…なるほど。君が頑なにこちら側に戻らないのは、そちらのお嬢さんがいるからか」

森は目を細め、私をみた。ぞくりと背筋が凍る。なにも言えなくなって、押し黙っていると、ふと手が暖かいなにかに包まれた。見ると細長い指だがどこか男性らしい手。太宰さんが私の手を握ってくれていた。

「鬼は他者の裡にも鬼を見る。私も、貴方と組むなど反対です」

太宰さんはにこりと笑ったが、普段のような温厚な笑顔ではなく、冷たいものだった。



―――その日の夜。私と太宰さんは森の奥にある小屋の前に来ていた。

「―――あれがQの監i禁施設か」

「情報によるとその様です。太宰さん、足元には気を付けてください。私では貴方を支えきれないので」

私が太宰さんが転ばないように、慎重に足元に注意を払っていると、「え〜〜」と云いながら太宰さんは私の肩に腕をのせ、態と後ろから体重をかけてきた。

「ちょっと!!何でこの瞬間(タイミング)で体重かけるんですか!!」

「Aの筋力を鍛えてあげようかと思って」

緊張感が全くない私たちをみたら国木田さんは間違いなく「緊張感をもて!!」と怒鳴るだろう。この場にいない上司のことを考えていると、私たちの前に影ができた。
それは月明かりではなく、人工的な光でできた影。

「こんばんは」

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , 中島敦   
作品ジャンル:恋愛
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塩わさび - ミヤさん» コメントありがとうございます!おもしろいといっていただけるなんて光栄です…!!!頑張って更新していきたいと思います……! (2018年4月18日 23時) (レス) id: e627b6cc05 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - 続編おめでとうございます!人間創造、とっても面白いです!これからも頑張ってください。応援しています! (2018年4月17日 21時) (レス) id: ce29b99b88 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:塩わさび | 作成日時:2018年4月16日 21時

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