三社鼎立 3 ページ24
「――A。起きな、A」
ゆさゆさと体を揺さぶられて意識が浮上した。いつの間にか寝ていたようだ。起こしてくれた人をみると、与謝野先生だった。
「よさのせんせ……?」
「社長からの指示だ。今から移動するよ」
寝ぼけたまま話したため、舌ったらずになってしまった。与謝野先生はそんな私の腕を掴むと立たせてくれた。
「移動ってどこにですか……?」
「旧晩香堂だ」
旧晩香堂?
どこだろう、と思案していると見透かされたのか、ついてくればわかると言われた。大人しく乱歩さんたちについていくと、なぜか地下へと行たどり着いた。一見教室のようなその造りは、機材やら何やらで埋め尽くされている。
しばらくすると下駄の音が近づいてきた。探偵社で下駄を履いている人は一人しかいない。
「皆聞け」
社長の声がかかると、私たちはそれまでしていた作業を止め、社長のほうへ向く。緊張が私たちの間にはしる。
「嘗て、三日や二日前には戦争を免れる途は在った。しかしその途も今や閉ざされた。社の殴殺を謀るマフィア。社の簒奪を目論む組合。この両雄より探偵社を守らねばならぬ」
太宰、説明を頼む。
社長はそういうと、太宰さんは軽い声ではあい、と返事をし、入れ替わるように喋り始めた。
「組合は資金力に、マフィアは兵の頭数に優れます。正面から搗ち合えば探偵社と雖も脳天が弾け飛びます。そこで、我々は守勢と攻勢に分割し奇襲戦法で姑息に抗います。守勢の要は、何と云っても此処で与謝野先生を守る事。先生の治癒能力があれば、死なない限り全快出来ますからね。嬉しいかは別にして」
まるで学校の先生のようにスクリーンの前で楽しそうに笑う太宰さん。笑っているのは太宰さんと賢治くんだけだ。以前受けた与謝野先生の治療をまた思い出して身震いする。組合やマフィアよりも恐ろしいのは与謝野先生の治療なのかもしれない。
それから太宰さんは作戦メンバーを説明した。
守勢を社長、乱歩さん、賢治君、与謝野先生、私。
攻勢の甲を国木田さん、谷崎君。乙を太宰さん、敦君。
太宰さんたちとはまた別行動だ。
私の異能力は攻撃系ではない為、守勢へまわされたのだろう。
「この戦の肝要は、この拠点地を隠匿する事です。敵の異能者総出で此処に雪崩れ込まれると、守勢が保ちませんから」
「三組織の内、生き残るのは一組織のみだ!闘う他に活路はない!三組織、異能力戦争だ―――!」
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塩わさび - ミヤさん» コメントありがとうございます!おもしろいといっていただけるなんて光栄です…!!!頑張って更新していきたいと思います……! (2018年4月18日 23時) (レス) id: e627b6cc05 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - 続編おめでとうございます!人間創造、とっても面白いです!これからも頑張ってください。応援しています! (2018年4月17日 21時) (レス) id: ce29b99b88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:塩わさび | 作成日時:2018年4月16日 21時