有頂天探偵社 2 ページ13
「あと……何でこんなに酒瓶が?」
「あぁ、肝心なことを忘れていたよ。宅飲みしようかなって思ってたんだ」
そういうと、一旦太宰さんはお茶を一口飲んでから、なぜかキメ顔をした。嫌な予感がする。
「てことで今夜泊まらせて♥」
「嫌です」
「えー」
「そんな顔をしてもダメです」
太宰さんはうるうると乙女のように目尻に涙をため、上目遣いをするがはっきりと断る。
朝私の部屋から出てきたら、隣部屋の敦くんに変な勘違いされそうだからだ。
太宰さんは私の態度に無駄だとわかったのか、ちぇーケチだなあと呟くとそのまま畳の上で横になった。
「そんな風だからAには彼氏できないんだよ」
「余計なお世話です…!彼氏は今は興味ないですし」
「ふーん?」
「それに、私には太宰さんがいますから」
太宰さん回収係の私がいなくなったら、国木田さんしかいなくなってしまう。そしたら国木田さんが可哀想だし、彼氏なんて相手をしている場合ではない。その趣旨を伝えると、なぜかため息をつかれ、呆れた顔をされた。
「………はぁ。君ってばほんとさぁ……」
「えっ?え?何でため息つくんです?」
「何でもないよ。……泊まるのは無理でも、宅飲みなら構わないだろう?」
「……まぁ、それで帰ってくれるならいいですけど」
「帰る帰る」
本当かなぁ。太宰さんがどれくらいお酒に強いかは知らないが、絶対この量のお酒飲んだら寝るような気がするが。
「それで、私がいない間どうだった?」
そんなことを考える私を他所に、太宰さんは早速一本目を開け、一口飲んだ。それから目を細くし、私をじっと見つめて返答を待っている。
「……鏡花ちゃんと敦くんと横浜を出掛けていたら、芥川に奇襲されました」
私は太宰さんがいない間のことをかいつまんで話した。鏡花ちゃんのことや、芥川のことも。
「…鏡花ちゃんは、芥川に自分のことを無価値な人間だと云われ、認めていました」
「……」
「私は、違うと思うんです。35人殺しの罪は一生消えないでしょう。けれど……けれど、私はその人たちの分まで生きてほしい。彼女には普通の女の子でいてほしい。太宰さんが、私をそうしてくれたように」
そこまで言って太宰さんを見つめる。視線が交わったが、相変わらず何を考えているのかはわからかい。ただ少しだけ、表情が先刻よりも柔らかくなった。
「…きっと、敦くんも同じ考えだと思うよ。君たちはどこか通ずるところがあるからね」
「……え?」
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塩わさび - ミヤさん» コメントありがとうございます!おもしろいといっていただけるなんて光栄です…!!!頑張って更新していきたいと思います……! (2018年4月18日 23時) (レス) id: e627b6cc05 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - 続編おめでとうございます!人間創造、とっても面白いです!これからも頑張ってください。応援しています! (2018年4月17日 21時) (レス) id: ce29b99b88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:塩わさび | 作成日時:2018年4月16日 21時