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「明星は、本来ならばもっと評価されるべきだ。俺たちに付き合って底辺を這(は)いずり回らなくても、もっと上を目指せる逸材なのだが」
「お金ちょうだい、お金☆ パフォーマンスを見せたんだから、そのぶんの報酬ちょうだい〜♪」
「......性格には、難ありだが。そこが評価されにくい理由なんだろうか?」
親戚にお年玉をねだる子どものように、Aに頭を撫でられ尻尾を振り回している(ように見える)スバルを眺めて____
素直に褒めるのも馬鹿馬鹿しく思ったのだろう、北斗が唇をひん曲げた。
「まぁいい。朔間先輩、朝霧先輩、どうだった?」
あっさりと呼吸を整えると、北斗は座り込んだままの零、未(いま)だスバルに抱きつかれているAに向き直った。
「俺たちは、あなたたちのお眼鏡にかなっただろうか?」
「くくく。そう焦るな、急いでは事を仕損(しそん)じるぞ」
零はゆっくりと立ち上がって、Aに引っ付いて離れない虫(スバル)を ベリッ と引き剥がす。
そして虫(スバル)を北斗と真のいる辺りに投げ捨てた。
「若いのう、未熟じゃのう、青臭くてたまらんのう......♪」
「未熟、か。たしかにその通りだ、実力不足は承知している」
「結論...合格か不合格かでいうと、文句なしの合格よ」
パフォーマンス中にずっと持っていたノートを見ながら、Aが淡々と言った。
その言葉に、北斗たちが意外そうに、目を丸くしていた。
「おぬしらのパフォーマンスには夢があった、未来を切り開く可能性が満ちておったよ。我輩の手に余るほどの輝きじゃ」
貴婦人のように自身の棺桶に腰かけたまま真摯(しんし)に告げる吸血鬼を横目に、Aは小さく息をついた。
「年寄りの知恵袋を貸してやりたい、というところなんじゃが......。ここから先は『プロデューサー』であるAに頼むとしよう。
我輩は寝るとするか、くっくっく♪」
独特な笑い声を残して、彼は棺桶の中へと姿を消した。
「それじゃ、始めるわよ。
まず、あなたたちの技術はまだ拙(つたな)く、協調性も皆無ね。『ユニット』を組んでいる意味がないし、個々人の魅力が生かせていないわ。
でも華はある、磨けば光る宝石だわ」
冷徹に、何か期待をこめて語りかけてくる。
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、 - この作品の続編ですが、最新作はオリジナルフラグが外れておりません。違反行為ですのでちゃんと外して下さいね (2018年8月9日 18時) (レス) id: 93bb7a0f46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白銀桜夢 | 作成日時:2017年10月29日 17時