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「あまり徒に手出しはしたくないのう、平和が『いちばん』じゃ。とはいえ____
我輩をその気にさせる『何か』がおぬしらにあるのなら、吝(やぶさ)かでもないがのう?」
期待するように、その血色の双眸(そうぼう)が熱っぽく輝いている。
「我輩が力を貸すに足る輝きを、おぬしらは有しておるのかのう?」
「品定めしてくれ、朔間先輩、朝霧先輩」
あれから2時間、Trickstarの3人は双子の奏でる曲に合わせて、歌って、踊って、パフォーマンスを見せていた。
「もういいわよ」
ノートを片手にAは告げた。
「なるほど、なるほど」
彼女の横にいた零は ふむふむ と頷いている。
「はひ〜! よかった、やっと終わり? ぶ、ぶっ続けで何時間やらせるんだこの人たちは...!?」
この中でいちばん体力がない真が、へなへなとその場に座り込んだ。
本来は観客の前で見せるべき態度ではないのだが____そんな真に小言を垂れる元気とないらしく、北斗も肩で息をしながらぼやいた。
「おそらく、俺たちの体力も品定めしたのだろう。ライブは、体力勝負だからな」
汗を拭い、彼はつけたままだったらしい腕時計を確認する。
そういえば、制服だったのだ。
とても運動する服装ではない、なのに彼らは立派にやり遂げた。
「午後の授業をまるまるサボってしまったな」
「ひ、氷鷹くんはわりと平気そうだね? さすがだなぁ、憧れちゃうよ!」
もう指先を動かす元気もないらしい、へたり込んだままの真が褒めている。
けれど北斗は驕(おご)らずに、ちからなく首をふった。
「いや。正直、立っているだけで精一杯だ。足がガクガクしている、俺はあまり顔に疲れがでないタイプのようだ」
「流した汗の分、しっかり水分補給しなさい」
いつ用意したのか、どこから持ってきたのか、タオルとスポーツドリンクを北斗に差し出すA。
北斗が受け取ったあとは真、スバル、そして双子にも渡す。
「それでどうだった、俺たちのパフォーマンスは? 生徒会に、勝てそう? ねぇねぇ♪」
スバルが思いっきりAに飛び付いて、無邪気な笑顔で問い詰めた。
「明星くんは、なんであんなに元気で跳び跳ねていられるんだろう...。ちょ、超人か!?」
「あいつは『もの』が違うからな、ついていくだけで大変だ」
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、 - この作品の続編ですが、最新作はオリジナルフラグが外れておりません。違反行為ですのでちゃんと外して下さいね (2018年8月9日 18時) (レス) id: 93bb7a0f46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白銀桜夢 | 作成日時:2017年10月29日 17時